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仕事中のあなたの心のエネルギーは、いったいどんな状態だろう。元気いっぱい前向きに仕事に取り組んでいるかもしれないし、意欲が湧かずに困っているかもしれない。ただ、どちらであっても、同僚の存在が理由の一部になっている可能性がある。私たちは誰もが、同僚が発するエネルギーの影響を──ポジティブなものであれネガティブなものであれ──受けているからだ。
このように、他者とのやり取りから受けるエネルギーは「関係性エネルギー」と呼ばれており、職場では仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす。そのことを筆者は、BYUマリオットスクール・オブ・ビジネス教授のブラッドリー・オーウェンズ、ペパーダイン大学グラジアディオ・ビジネススクール准教授のダナ・サンプター、ミシガン大学ロススクール・オブ・ビジネス名誉教授のキム・キャメロンとの共同研究で明らかにした[注1]。
筆者らがこの研究を思い立ったのは、精神的エネルギーが個人にとっても組織にとっても重要であるにもかかわらず、その源泉についての研究において、関係性エネルギーが軽視されていると感じたからだ。筆者らは4つの実証研究を通じて、関係性エネルギーを有効な科学的概念として確立したうえで、それが従業員のエンゲージメントや仕事のパフォーマンスに与える影響を評価することを目指した。
関係性エネルギーの働きを理解するには、職場であなたの気持ちを明るくし、元気づけてくれる人たちのことを考えてみればよい。彼らはどんなことをしているのだろう。どんな言葉を発しているのだろう。ポジティブな雰囲気を放つことで他者を元気づける人は、たしかに存在する。
ある大企業の従業員は、みずからの上司について次のように語った。「彼女は仕事を心から楽しんでいて、明るくほがらかに全員と接してくれるので、エネルギーをもらえます。いつも笑顔で出勤してくるので、彼女が職場にいるだけで雰囲気が明るくなるんです」
一方で、心のこもったつながりをつくることで、相手に活力を与えてくれる人もいる。そういう人は、たとえば人と話す時は、会話に全神経を集中し、相手の言葉に注意深く耳を傾けている。
ポジティブな関係性エネルギーを与えてくれる上司がいると、部下の仕事に対するエンゲージメントが高まる可能性が大いにある。実際に、筆者がある大規模な医療関連組織を対象に調査を行ったところ、リーダーとの間に良好な関係性エネルギーを感じると、部下の仕事に対するモチベーション、課題に対する集中力、業務への没入度合いなどが高まることが明らかになった。