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【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
フランク E. ワイゼ3世(Frank E. Weise III)コット 会長兼社長兼CEO
ミッキー・パント(Micky Pant)リーボック・インターナショナル マーケティング最高責任者
スティーブン J. ホック(Stephen J. Hoch)ペンシルバニア大学 ウォートン・スクール ジョン J. ポメランツ寄付講座教授兼マーケティング学部長
ジュディス・コースティエン(Judith Corstjens)キュービクラム・コンサルタンシー 代表
マルセル・コースティエン(Marcel Corstjens)INSEAD 教授
[ケース・ライター]
ダニエル B. ストーン(Daniel B. Stone)アルバート・カルバー 企業広報担当バイス・プレジデント
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
業界初の試み:ブランドを立ち上げる
トム・ローズは、アイスクリームで汚れたズボンをはいたまま会議に出るはめになった。ローズ・パーティウエア(以下ローズ)が、地元住民と親睦を図るために毎月催している「アフタースクール・パーティ」──開発中の商品をテストするためのパーティでもあった──で、彼の右隣に座っていた5歳の子どもが、開発中のアイスクリーム・カップの一つが浅すぎるのではないかという彼の懸念を証明してくれたからである。
トムはペーパータオルを片手に、大事なプレゼンテーションに耳を傾けた。マーケティング・ディレクターのキャシー・マーティンに「キャシー、始めてくれたまえ」と言った後、「そのうち乾くだろう。どうせ今日はこれが最後の会議だ」とつぶやいた。
トムには、これから経営幹部の前で披露するプレゼンテーションについて、彼女が興奮と期待で気持ちが高揚しているのがよくわかった。
彼女は1年前、ローズ創業以来最大の戦略計画であるパーティ用品の新規ブランド立ち上げ企画の陣頭指揮を執らせるために、トムがじきじきにスカウトした人物である。彼がこの業界に入ってから少なくとも30年間、パーティ用品業界の企業がブランドを立ち上げようと検討するのはこれが初めてのことだった。