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最悪の伝染病エイズ
ロシアであれ、中国であれ、南アフリカやブラジルであれ、開発途上国で事業を展開する企業にとってエイズは他人事ではなく、自社の問題でもある。
世界的流行を見せるエイズは、14世紀に2000万人の死者を出した腺ペストや1917年にほぼ同数の死者を出したスペイン風邪の大流行を瞬く間に凌ぎ、有史以来最悪の伝染病となりつつある。
国連のエイズ対策を調整するUNAIDS(国連エイズ合同計画)によると、エイズによる死亡者数はすでに2000万人を超え、エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染者数は4000万人を優に上回っている。
南アフリカ、ボツワナ、スワジランド、ジンバブエ、ザンビアなど、アフリカでも最も深刻な打撃を受けている国々では、就労年齢の成人の5人に1人がHIVに感染している。また、アフリカが大きな関心の的となる一方で、エイズは世界の他の地域でも急速な広がりを見せている。昨2002年、最も急速に流行が拡大したのはロシアとウクライナだった。
さらに、UNAIDSは2002年の報告書でHIV/エイズを「中国の巨大な危機」と呼んでいる。エイズが次に大流行するのは10億人の人口を抱えるインドだと見る専門家も多い(図1「エイズの世界的な危機」を参照)。