勝者と敗者の違いの一つは、負けをどう受け止めるかである。

 どれほどの優良企業であっても、どれほど優秀なその道のプロフェッショナルであっても、長期にわたる成功の記録を眺めれば、転んだり脇道に逸れたり、時には後戻りした痕跡がうかがえる。試合に勝ったチームでさえ、ミスを犯し、ボールを落とし、相手に後れを取る窮地をくぐり抜けている。失敗してもすぐに立ち直って元の軌道に戻ってくる能力が重要なのは、そのためである。

 トラブルは至るところで発生する。予期せぬ出来事が、突然、火山灰のように空から降ってきて、景色を変えてしまう。前途洋々の船出をした新規事業も、想定外の障害や遅延、間の悪い批判に遭遇する。