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世界的な戦略コンサルティングファーム、ボストン コンサルティング グループ(BCG)。経営層や起業家、各界のリーダーとして活躍する多くのビジネスパーソンが、そのキャリアの礎をBCGで築いてきた。なぜBCGは、多くの若き才能を引きつけ、飛躍的に成長させることができるのか。その背景には、思考力やリーダーシップを磨く多様な機会と、挑戦する機会と伴走する支援が組み込まれた人材育成の仕組みがある。本稿では、BCGのマネージング・ディレクター&パートナーの繁田健氏、異業種から転職したプリンシパルの荒木友里氏、BCGのアラムナイ(卒業生)で現在スタートアップを牽引する樋浦直樹氏への取材を通じて、BCGという成長の舞台の本質を探る。
多様な個性が交差するキャリアの起点
BCGに集う人材のバックグラウンドは多様だ。新卒で入社し、マネージング・ディレクター&パートナーとしてTMT(テクノロジー・メディア・通信)セクターを率いる繁田健氏は、「社会にインパクトを与えるような仕事がしたい」という思いを抱き、BCGの門を叩いた。「ビジネスパーソンとしての思考力、構想力、総合的な人間力を徹底的に磨ける場であることに惹かれました」と繁田氏は語る。
繁田氏と同期で新卒入社した樋浦直樹氏は、BCGを退職後、クラウドファンディングサービスを運営するREADYFORの取締役に就任し、現在は非常勤取締役の立場にある。学生時代から「社会変革を志す人々を支えたい」との思いを持ち、就職活動時は「経営者に近いところで力を磨きたい」とBCGを志望した。
建築系デザイン事務所から転職した荒木友里氏は「ビジネスについての専門的なスキルや経営の視点を身につけたい」と考えている中でBCGと出会った。選考中に会った社員の人柄に惹かれ、「前職で培った答えのない問いに向き合う力が活かせる」と自分に合っていることを直感的に感じたという。三者三様の動機は、BCGが多様な価値観を受け入れる土壌を持つことの証左といえるだろう。
3人のキャリアパスから浮かび上がってきたのは、若手に本質的な挑戦の機会を大胆に提供すると同時に、組織的なセーフティネットでその挑戦を徹底的に支えるという、絶妙なバランスの上に成り立つ育成思想と文化であった。
挑戦を支える仕組みが成長を加速させる
若手人材はBCGでいかにして成長を遂げるのか。その核心に、個々の能力を戦略的に引き上げる成長の機会と、それを支える手厚い支援の存在がある。
繁田氏は、自身と同じTMTセクターを担当する荒木氏の成長エピソードを例に挙げる。当時、マネジャー職への移行期だった荒木氏に対し、繁田氏は大手企業の次世代事業の柱を創出するという高難度のプロジェクトのリードを任せた。