-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
スピンアウトの成功率は概して低い
あなたの会社には、将来性の高いR&D(研究開発)プロジェクトであるにもかかわらず、いっこうに進展しないものがどのくらいあるだろうか。10件、50件、それとも100件か。多くの企業において、既存の戦略や事業にマッチしないために棚上げされている潜在価値を秘めた事業はおびただしい数に上る。
ひとたび景気が悪化すると、このような戦力外プロジェクトは真っ先に売却対象に挙げられる。しかし、これらのプロジェクトを独立事業体としてまとめ、スピンアウトさせることで、財務内容を即座に強化でき、しかも将来IPO(株式の新規公開)するようなことがあれば、棚ぼたのキャッシュが転がり込んでくるかもしれない。
ともかく理屈ではこうだ。しかし現実には、スピンアウトはめったにうまくいかない。我々が過去7年間にわたって約50件のスピンアウトについて詳細に調査したところ、その3分の2が期待外れの結果や完全な失敗に終わっている。あるものは、まったくと言ってよいほど市場価値に乏しく、構想自体に問題があった。またあるものは、しかるべきリーダーシップや経営陣を欠いていた。
また、生き残るための経営資源を自社開発できる前に親会社から切り離されてしまったり、親会社の締めつけが強すぎたりして、企業として独立独歩するチャンスにまったく恵まれなかったというケースもある。理由はどうあれ、スピンアウトは、たいていの場合、期待した成果を得られずに終わる。
しかし例外もある。たとえば、生命科学の分野を見ると、スピンアウトの成功率はずっと高い。最近、大手タバコ会社のR. J. レイノルズ(以下RJR)は、ターガセプトという製薬事業をスピンアウトさせた。現在同社は独立企業として着実に成功への地歩を固めている。
ターガセプトのケースは、スピンアウトを成功させる秘訣は健康で自主性にあふれた子供を育てるのとほぼ同じであることを示している。親会社は子会社に十分注意を払い、面倒を見なければならないが、同時に、親元から手放すタイミングと方法も心得ていなければならない。
RJRとターガセプトの例が示すように、このコツを学ぶことで、親会社もスピンアウトされた新会社も、共に大きな果実にあずかることができる。