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マーケティングの本質的使命
マーケティングは、もっぱら需要を刺激し、それを拡大させるためのものと一般的には考えられている。すなわちマーケティングとは、伝統的な概念によれば既存商品についてその顧客を見つけ出すものだとし、一方最近の考え方によればいまだ満たされていない消費者に新商品を創造することだというのである。
しかしいずれの概念も、マーケティングを売上げと利益とを増やすための技術だと考える点で共通している。そしてマーケティング担当者は、4P(商品、価格、場所、プロモーション)を巧みに操り、その販売量を積み上げる専門家だとされる。
残念ながら、これはマーケティングとマーケティング技術の潜在可能性を狭義にとらえており、供給過多の時代の産物である。
またマーケティングは、かつての次のような考え方を反映しているともいわれる。つまり、売り手がいかに行動すべきかを論ずるものであって、さまざまな状況下における売り手の行動を分析するものではないと。
多くのマーケティング書が説くところは「~すべし」という忠告である。いわく「目標を設定すべし」、いわく「市場を知るべし」、いわく「消費者ニーズに合わせるべし」等々、そうすればもっと売れるという暗黙の予測を前提としている。その結果、マーケティングは買い手の問題とほとんど同一視されるようになってしまった。
デ・マーケティングとは何か
ここで、経済全体が突如モノ不足に陥った場合を想起してみよう。そのような状況下におけるマーケティング・マネジメントの役割は何だろうか。マーケティング・マネジメントはマイナーなビジネス機能に格下げされてしまう、あるいは完全に姿を消してしまうのだろうか。それとも依然重要な機能たり続けるのだろうか。
製造、財務、マーケティング関係者にこの問題について意見を求めると、多くの人はモノ不足の経済下ではマーケティングの役割は大きく縮小するだろうと答える。彼らはマーケティングを「晴天下」での仕事、つまり供給過多の時代でのみもっぱら意味を持つと見ている。この点においてマーケティングは、景気のいかんにかかわらずその意味を失うことのない製造や財務、その他のビジネス機能とは異なるというのだ。
しかし、我々はこのような立場には与しない。マーケティング担当者の職責を顧客探しと需要の拡大にあると狭義に考えるとするならば、需要が手に余るほど増大した場合にはマーケティング担当者はもはや無用ということになろう。