-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
戦場の知恵がビジネスで生きる
近年、ビジネス界は激変に見舞われている。ちょうど戦争がそうであるように。
企業経営者であれば例外なく、身のすくむような思いでいることだろう。21世紀の事業環境は難題だらけだ。急激かつ破壊的な変化。移ろいやすいビジネスチャンス、不完全な情報、あらゆる面での不確実性と混沌──。
軍の司令官は戦場でこのような難局に直面してきたが、電子兵器、戦線の乱れ、とらえどころのない敵などの影響によって、難局をしのぐのはいっそうやっかいになっている。
軍事戦略は事業戦略と同様に、環境の変化に応じて進化を迫られてきた。そこで重視されるようになったのが、「機動戦」(maneuver warfare)というアプローチである。
機動戦は実は65年前からその有効性が認められていたが、10年ほど前からとりわけ注目度が高まっている。それというのも、今日の戦闘環境に非常に適しているからだ。
機動戦は戦場で勝利を収めるために考案されたアプローチではあるが、事業戦略を検討するうえでも斬新かつ有用である。
このアプローチを応用すれば、難局に屈するどころか、逆にそれをバネとして生かすことができる。
では機動戦とはどのようなものか。アメリカ海兵隊の教義書『戦闘時のマニュアル』(Warfighting:以下『マニュアル』、ならびに『 』部分はその引用)には、こう記されている。