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「カスタマー・アズ・イノベーター」のアプローチ
顧客ニーズに注意深くして耳を傾けろ。そしてそれを満たすか、それを上回る新商品を生み出せ──。
これまで多くの企業において、このようなアプローチが主流だった。そのおかげで優れた商品が誕生したり、しばしば業界全体の方向性が決まったりしてきた。この事実に疑問を挟む余地はあるまい。
しかし、この紋切り型のアプローチを信じ切っていると、企業の競争力が脅かされかねない。このアプローチの問題点は、顧客ニーズを深く理解するのにコストがかかるうえ、しかもそのプロセスは厳密さに欠けていることである。
顧客は、仮に自分が何を望んでいるのか正確にわかっていても、その情報をメーカーにはっきりと、あるいは完全に伝えることができないことがよくある。
また、多くの市場で構造変革のスピードが高まり、一部の業界ではワン・トゥ・ワン・マーケティングが主流になりつつある。それゆえに、顧客ニーズを理解し、それに対処するコストは跳ね上がり、かえってコントロール不能な状況に陥りやすい。
我々は、さまざまな業界の製品イノベーションを研究する過程で、いくつかの企業が興味深いアプローチを選択していることに気づいた。このアプローチは、一見すると腑に落ちない類のものかもしれない。
ただしその基本を説明すると、顧客がどのような製品を望んでいるのか正確に理解する努力をやめ、その代わり、顧客自らが製品を設計・開発できるツールを与えるのである。これは部分修正から抜本的なイノベーションまで対応可能なものだ。