ゲーム・デザインはマネジメントに通ずる

 筆者は、ゲーム・デザイナーである。テレビ・ゲームではなく、昔ながらのボード・ゲームやカードの類である。この種のゲームでは、ボード以外でもプレーヤーの間で、いろいろなやり取りがあるが、そのようなハプニングは実際のゲームと同じくらい貴重な経験となる。

 ゲームを創作するのは、素晴らしい仕事であるし、やり甲斐もある。

 ゲーム・デザイナーは、プレーヤーを戦略的な行動に駆り立て、何とかして勝ちたいと思うように仕向ける。明快な組み立てと客観的な得点方法を設定し、彼らが互いに傷つけ合わないよう勝負を仕掛け、最後は全員が好感情を持って別れられるようなゲームの設計を目指す。

 最高の暇つぶしだったと思ってもらえるようなゲームを発明することが、我々の最大の目標である。これは、経営者が掲げる目標ともいくらか通じるところがある。

 ゲーム・デザイナーのやり方は、どの程度マネジメントに応用できるだろうか。本稿では、ゲーム・デザイナーが繰り出す技のさまざまな要素について、筆者なりの解釈を試みるが、読者にもそれぞれ役立つ手がかりをつかんでいただきたいと思う。少なくとも、〈モノポリー〉の勝率を高めるヒントが得られることは保証しよう。

 筆者はゲーム・デザイナーであると同時に、過去20年以上にわたって企業経営にも携わってきた。パーカー・ブラザーズで研究開発チームを担当したのが始まりで、最近は3人の仲間と共同で設立したウィニング・ムーブズの社長を務めている。

 これまで事業が順調であることを見ると、ゲームの手法で仕事に取り組んできたのは、成功だといえるだろう。

優れたゲーム・デザインの原則

 ゲームに関してまず知っておくべきことは、ゲームがエンタテインメント体験として組み立てられているという点だ。これはまた、人々がゲームを好む理由でもある。