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改革実現に重要な役割を果たすミドル・マネジャー
そもそも、「ミドル・マネジャー」という言葉自体が、凡庸さを思い起こさせる。よりよい状態を夢見る想像力を持たないため頑固に現状維持を主張する人間、悪くすると、組織をもっとよいものに変えていこうとする他人の努力を故意に妨害する人間、というイメージだ。
人気メディアや、ここ20年ほどの変革マネジメント・コンサルタントたちが、このステレオタイプの見方をさらに強化してしまった。
いわく、「大規模な改革を行うなら、ミドル・マネジャーに気をつけろ。最大の抵抗を見せるのは彼らだから」「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を行うなら、まずミドル・マネジャーを追い出せ。彼らは単なる仲介役で、何の付加価値も生んでいない」──現実のマネジャーを観察することなく、経営実践に関する文献を読んでばかりいると、「ミドル・マネジャーは絶滅する運命にあり、根絶すべきだ」という結論に達するのが、最近までの状況だったのである。
しかし、解雇通知を用意するのはまだ早い。
筆者は最近、ミドル・マネジャーに関する6年にわたる調査を完了した。主眼は、抜本的な組織改革期における彼らの役割に置いた。ミドル・マネジャーは、「現場の労働者や専門職より一ランク上から、CEO(最高経営責任者)より2ランク下までのマネジャー」と定義した。
調査の内容は、現場での徹底的な観察、200名以上のミドル・マネジャーや上級マネジャーへの綿密なインタビュー、そしてケーススタディの検討などである。おそらく読者はその調査結果に驚かれるだろう。
大抵の上級幹部は気づいてさえいないが、ミドル・マネジャーは、企業における抜本的な改革を実現するのに重要な役割を果たしていたのである。ミドル・マネジャーの役割は、大きく分けて次の4つの分野で発生している。
(1)ミドル・マネジャーが貴重な起業アイデアを抱えている例は多く、そのアイデアを聞いてもらえさえすれば、それを実現する意欲と能力を持っている。