-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
長時間勤務が原因で辞めていく優秀な人材
ホテル・ビジネスは、情け容赦のないものである。当社、マリオット・インターナショナルは、一日24時間、1年365日、サービスを提供している。そして、毎日が等しく重要である。
たとえば、金曜日の夜遅くに何か問題が発生したら、だれかがその日のうちに、あるいは週が明けるまでに問題を解決しなければならない。ホテル業界では、「月曜日に処理すればいいだろう」などという姿勢のマネジャーはとうてい務まらない。
当然ながら、卓越したカスタマー・サービスを提供していると自負するマリオットでは、「フェース・タイム」を重視する文化が深く根づいており、現場で勤務する時間が長いほどよいとされてきた。マリオットのマネジャーの多くは、平均的な週で50時間を超える勤務をしていた。
フェース・タイム、すなわち顔と顔を突き合わせる時間を重視する思想は、顧客にサービスを提供する意味では有益だが、代償も伴う。
1990年代半ばには、優秀な人材の採用が徐々に難しくなっていき、最優秀レベルのマネジャーの何人かが、家族と過ごす時間をもっと取りたいという理由で、同社を辞めていく事態が生じていた。
どんなビジネスにおいても人材が土台であるのは同じだが、人をもてなすことを生業とするサービス業は、まさにこの真理が当てはまるビジネスである。当社の商品は、家族旅行や出張で宿泊する客に提供するサービス以外には何もない。
できるだけ優秀なマネジャーやスタッフを引きつけ、引き止め続けることができなければ、苦境に陥るのは目に見えていた。
こうしたことから、フェース・タイム重視を改めるべき時が来た、と当社は悟ったのだ。