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1960年代から問われ続けるリーダーのあるべき姿
本稿がHBRに初めて掲載されたのは、1967年の9-10月号である。以降、抜き刷りを購入したいという声が多数寄せられるなど、高い評価を受け続けてきた実績により、84年に「HBRクラシック」として再掲載された。
60年代当初、ここで描かれたリーダー像は、まさに異端だと見なされていた。優れたリーダーは好機を逃さないが、かといって企業目標や長期的なマスタープランなどを詳らかに示すことがない。ポリシーを公式文書として表すこともない。目的指向で組織を揺さぶり、時にはオペレーショナルな問題にすら、個人的に積極的に取り組んでいく。
はたして、このようなリーダー像は現実に存在しうるのだろうか。筆者は84年に本稿が再掲された際に寄せたコラムのなかで、ここで述べられた条件を忠実に実行しようとしてもなお、多くのリーダーが、まるでダムから洗い流されるがごとく滑り落ちていってしまうと語っている。
本稿が世に出て四半世紀が過ぎたが、いまなお、普遍的な問題を振り返る一助となる論考である。
成功するリーダー5つの技能
経営上層部の世界は、外から見ると神秘的で、興味をそそられる。そこには限られた少数の人々しか到達できないうえ、彼らはより下位レベルの人たち、あるいは一般の人々には理解しがたい、支離滅裂なメッセージをたびたび発している。
これら経営層の人々を直接調べた報告が少ないために、経営にまつわる文献には、しばしば神話、幻想、皮肉といった類のものが登場する。典型的なものをいくつか挙げてみよう。
・ピラミッドの頂点に到達すれば、生活は単調なものになる。
・経営トップ層は、組織内で現在起きている事柄はなんでも知っている。必要とあらば、いかなる経営資源も入手できる。その結果、確固たる決断ができる。
・経営トップ層の一日は、まず組織全体に向けたポリシーづくり、さらに明確な目標を設定していくことに費やされる。
・経営トップ層の主たる活動は、長期経営計画を概念化していくことにある。