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年功報酬制度でもスター・コンサルタントは引きつけられる
私がこの事業を興した1964年から現在に至るまで、プロフェッショナル・サービスはさまざまに変化してきた。それを提供するプロフェッショナルな人間への報酬の支払われ方も、例外ではない。64年当時、報酬は何よりも年功に連動していた。勤続年数が経験を測る尺度だったのだ。
ところがいま、コンサルティング会社や法律事務所など、プロフェッショナル・サービスを売り物とするところでは、勤続年数は報酬を決める尺度としては不適当だとされている。そればかりか、ともすると永年勤続はマイナス要素にさえなっている。
報酬は業績に基づいて決めるべきであり、もっとはっきり言えば、個人の報酬は個人の成果に連動すべきだと信じられている。
そのため、たいていのプロフェッショナル・サービス会社は、担当するクライアントからどれだけの取扱高があったか、新規クライアントをどれだけ獲得したかによって、社員の報酬を決めている。したがって、社員の成果を正確に測定するために、相当な時間と努力を費やしてもいる。
しかし、エゴンゼンダーインターナショナル(以下EZI)は、時代遅れの報酬制度にこだわる道を選んだ。EZIでは、パートナー(会社に出資する共同経営者)には、基本給、およびパートナー全員に同率で分配する利益とは別に、パートナーとしての在任年数で調整して分配した利益を報酬として与えている。
EZIには、個人の成果どころか、世界各国の現地オフィスの業績を個別に追跡する手法も、正式には存在しない。たとえば、パートナーの在任年数が10年の人であれば、パートナー歴5年の人より──どこのオフィスの所属であっても──年度末に受け取る報酬は多くなる。
たとえ、前者のオフィスが赤字を出し、後者のオフィスが在職5年のパートナーの働きによって過去最高の売上げを記録したとしても、報酬の計算式には何ら影響しない。
当社の報酬制度の内容を知ると、そんなやり方で、「スター」コンサルタントをつなぎ止めることができるのかと、質問してくる人がよくいる。彼らは、当社がずば抜けて有能なコンサルタントを毎年採用することに成功しているうえ、当社のパートナーの年間離職率がわずか2%(業界平均は30%)であるのを知ると、一様にショックを受ける。
当社が採用に成功している理由は、実は簡単である。
第1に、当社のような報酬制度を取っていれば、自分の勢力を拡大することにはあまり関心がない人材を採用するようになる。