-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
説得のスキルが脱C&Cリーダーシップのカギ
ビジネスマンはいまこそ「説得術」を学ぶべきである。上司が上意下達に管理・命令する、いわゆる「C&C」(コントロール・アンド・コマンド)の時代は幕を閉じつつある。
今日のビジネスの主体は、対等な個人が集まって構成する「クロスファンクショナル・チーム」(部門横断的組織)であり、またそのメンバーたちはベビー・ブーマーであり、またその子供たちであるX世代なのだ。
この世代の人たちは頭ごなしの命令に従ったりしない。加えて、インターネットの普及やグローバリゼーションの進展によって、人材はますます流動化し、知識や情報の流通は組織の壁を超えて活発化している。
そしてビジネス上の意思決定は、顧客や市場に密接して下されるようになった。その結果、伝統的な組織ヒエラルキーは意味を失いつつある。
このような根本的な変化が現実化するまで10年以上の歳月が必要だったが、いまや経済構造の一部と化してすっかり定着している。仕事をきちんとさせるには、「何をすべきか」だけでなく、「なぜすべきか」について答えられなければならない。
この疑問に的確に回答すること、これこそ「説得」である。にもかかわらず、説得の意味を誤解しているビジネスマンが大半である。その効果を生かし切れないビジネスマンの数はさらに多い。なぜだろう。
説得とは、商品を売り込んだり、取引を成立させたりするための「奥の手」と勘違いしているからだ。また一部には、「体のよいごまかしにすぎず、概してよこしまな手段であり、できる限り避けなければならない」と考える向きもいる。
さまざまな営業の場面で説得が利用されているのは確かだ。また、相手を操るために悪用されるおそれも否定できない。しかし、前向きな気持ちでトレーニングに励み、その可能性を最大限に引き出せれば、押し売りよりも効果は高く、欺く行為とはまったく正反対の結果を引き出せる。
効果的な説得とは「交渉と学習のプロセス」にほかならない。このプロセスを経て、社内外の仲間を共通の解決策へと導いていくべきだろう。
たしかに説得のためには、異なる考え方へ相手を導く努力が必要になるが、それは懇願したり、丸め込んだりすることではない。入念に準備し、議論のシナリオを立て、具体的な論拠を提示する。そして、相手の気持ちを効果的に動かすにはどうすればよいのか工夫を凝らす。これが、説得のプロセスなのだ。