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T型マネジメントとは何か
知識経済の下、最も大切な企業資産と言えば、専門性であり、アイデアやひらめきの源となるものだろう。これらの資産は、組織のここかしこに散らばっていたり、奥底に埋もれていたりする。
いずれにしても、多大な努力にもかかわらず、十分に活かされていないケースがほとんどのようだ。これは残念なことである。なぜなら、知的資源をうまく活用すれば、驚くほどさまざまな課題に対処できるからだ。
たとえば、フットワークの軽い小企業からの攻撃をかわすことも、M&Aの際の統合をスムーズに進めることも可能だ。あるいは、既存の知を用いて業績を向上させる場合もあれば、一連の知を組み合わせてまったく新しい何かを生み出す場合もあるだろう。
多くの企業が、ナレッジ・マネジメントを一元化したり、そのための技術に多大な投資をしたりして、埋もれた知的資源を発掘・活用しようと試みてきた。しかし、必ずしも成功しているとは言えそうにない。そこで、新しいアプローチを紹介したい。
それは、マネジャーの行動様式とタイム・マネジメントを改めるというものだ。さほど斬新な内容とは言えないかもしれないが、うまく導入すれば、相当な効果が得られるはずだ。
その手法を、本稿では「T型マネジメント」(T-shaped management)、それを実践するマネジャーを「T型マネジャー」(T-shaped manager)と呼ぶ。この新しいタイプのマネジャーは、大きく分けて2つの役割を果たす。
・T型マネジャーのヨコの役割
伝統的なヒエラルキーにとらわれずに自由に知を共有する(「T」のヨコ棒がこの役割を示している)
・T型マネジャーのタテの役割
自分のビジネスユニットの業績を高めるために腐心する(「T」のタテ棒がこの役割を示している)
T型マネジャーがナレッジ・マネジメントを補完する
ただし、これら2つの役割の間に緊張関係がまま生じるため、両立は容易ではない。しかし、T型マネジャーとしてその任務をまっとうするには、それをあえて甘受し、乗り越えなければならない。これは、ビジネスユニットの長はもとより、あらゆるマネジャーの課題でもある。
なかには、疑問を抱く向きもあろう。「知を共有するために、なぜマネジャーたちが多くの役割を負わなければならないのか」「最新のナレッジ・マネジメント手法を取り入れれば、事足りるのではないか」