-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
消費者のクチコミを最大限に活用する
「バズ」(buzz:消費者のクチコミにより、一大ブームを巻き起こすこと)はマーケティング伝説の一要素である。
闇の魔法使いとハリー・ポッター、道行く人を思わず立ち止まらせるレトロな〈ビートル〉(自動車)、病みつきになる〈ポケット・モンスター〉、抱きしめたい〈ビーニー・ベイビーズ〉(人形)、身の毛もよだつホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。どれも、自然発生的な宣伝のおかげで大ヒットとなった商品だ。
人は、どういう理由か、自らの経験を他人と分かち合いたがるものだ。たとえば、ランチを食べに行ったレストラン、週末に観た映画、手に入れたばかりのパソコン、などなどである。それが本当によいとなると、評判は雪だるま式に膨らみ、とてつもない成功へと導かれる。
とはいえ、もしバズについて質問されたら、たいていのマーケティング・マネジャーは、肩をすくめるだけだろう。そして、このように言うに違いない。「偶然か、単なる幸運だ」と。
だが、マッキンゼーの調査によればそうではない。50社以上のマーケティング・プラクティスについて調査したが、その結果、バズ現象──我々はこれを「爆発的に自然発生した需要」と定義したものの──が成りゆき任せで自然に起こることはめったにないことを突き止めた。
このバズ現象は、いくつかの基本原則に従って発展する。先の調査結果は、さまざまな消費者グループがどのように相互作用し、影響を及ぼし合うのかを分析しさえすれば、どのようにバズが展開されるのか、十分予測できることを示している。
しかし、多くのマネジャーは、消費者のクチコミを最大限に活用できるような販促キャンペーンを展開する方法を、ほとんどわかっていない。それどころか、バズ現象に関して、誤解に満ちた5つの通説をいまだに信じ切っている。バズの恩恵を最大限引き出すには、「バズがどのように作用するのか」理解しなければならない。
そのためには、これら5つの「バズ神話」をよくよく検討してみる必要がある(図1「5つのバズ神話」を参照)。
図1 5つのバズ神話
このように言われているが……
実際には……
【MYTH 1】
奇抜な商品、先端的な商品でなければ、バズの対象にならない。
処方薬のようにまったくバズ向きとは思えない製品も、すさまじいバズを起こすことができる。
【MYTH 2】
バズは突発する。
バズは、巧みなマーケティング戦術の結果という例が増えている。戦術としては、「旗振り役を育てる」「品薄状態を演出する」「スーパー・スターを利用する」「ランキングの威力を借りる」「草の根運動を起こす」などが挙げられる。
【MYTH 3】
最高の顧客が、最高の「バズ・スターター」になる。
カウンター・カルチャーのほうが、バズを起こすパワーで優るケースも少なくない。
【MYTH 4】
バズに乗りたければ、先陣を切って素早く行動すべし。
後発企業でも、参入時期をわきまえていれば大きなメリットが得られる。
【MYTH 5】
バズを起こすには、メディアや広告の助けが必要だ。
メディアや広告の導入が早すぎたり、依存度が高すぎたりすると、バズは発火する前に消失してしまうことがある。
MYTH 1|[第1の神話]奇抜な商品、最先端の商品でなければ、バズの対象にはならない
バズに煽られ、消費者の間で熱狂的な流行が巻き起こるのは、あきれるくらいのばかばかしさ、あるいは所期の目的とは異なる性能がその一因となっているケースが多々あることは、やはり認めざるをえない。




