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ネットワークこそ経済だ
一見矛盾しているが、近年の産業界で唯一変化が見られなかったのは、「企業変革」という分野だけだったのではないだろうか。業界再編に始まり、企業と顧客の関係性、各部門の基本タスクの処理に至るまで、あらゆるレベルでダイナミックな変化が生じているにもかかわらず──。
この大波に飲まれ、マネジャーのみならず、マネジメントの研究家たちもすっかり参っている。ビジネスがあまりに複雑化したため、将来を予測しても無駄であり、戦略に磨きをかけるのは愚か者の所業だと。そして、できるだけ柔軟に構え、変革の波を泳ぎ切れるよう願うことこそ最善策であると。
このような見解はある意味で正しい。ビジネス社会は複雑さを極め、いまや適応力や対応力が、予測や行動力と同じくらいに重要である。しかしこれも、変化は不規則に見え隠れし、またさまざまな事象との相関性もわからず、したがって予測不能であるという前提に立っている。
我々はビジネス社会で起きている数々の変化について研究を重ねてきた。そしてその多くは、「ネットワーク・インテリジェンス」、すなわちネットワークに内蔵される情報処理能力に起因しており、どのような類の変化にも共通しているという結論に達した。
より簡単に言えば、コンピュータや通信の進歩に伴って情報がデジタル化されたため、あらゆる人的および技術的ネットワークの形態が根本から変わってしまい、そのような変化が経済全体に広がり、仕事や価値創造のあり方に大きな影響を及ぼしたということである。
このネットワーク・インテリジェンスは、経営幹部や起業家が、ビジネスの先行きを左右するあまたの現象を読み解くカギとなる。とはいえ、ネットワーク・インテリジェンスの進化など、ひどく抽象的に聞こえるかもしれない。しかし、ビジネスに直結した非常に具体的な意味を包含している。
デルコンピュータ(以下デル)やAT&Tから新興のネット・ベンチャー企業群に至るまで、あまたのハイテク企業の未来は、ネットワーク・インテリジェンスの変化を認識し、それに適応できるか否かにかかっている。
また、通信やコンピュータに直接関係のない企業でも、ネットワーク・インテリジェンスの変化がもたらす影響を免れない。
高度にネットワーク化が進んだ社会では、ネットワーク・インテリジェンスがどのように存在しているのか、その流動性は高いのか低いのかによって、従業員の組織化、製品の市場投入、情報管理、パートナーとの共同作業などに直接影響を及ぼす。



