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進化生物学の論理はビジネスに当てはまるか
異分野の研究から芽生えたインスピレーションによって、有益な結果が生まれてくることに疑いの余地はないだろう。
歴史学や人類学など、ビジネス以外の分野のさまざまな学問が、古い問題を新しい方法で考えるためのフレームワークを示してくれる。実際、学際的なアプローチで学問を活性化することは、これまでも行われてきた。
たとえば、マネジメントの研究者は、科学のさまざまな分野を借用して、組織行動や戦略を理論化する。なかでも、進化心理学と進化生物学はそのインスピレーションの源として人気が高い。しかし、それははたして望ましい姿なのだろうか。
進化生物学者リチャード・ドーキンスは、「一般の人に科学を説明する」ことにそのキャリアの大半を費やしてきた。
その著書The Selfish Gene(邦訳『利己的な遺伝子』紀伊国屋書店刊)において、「進化は利他主義と自己犠牲の賜物である」という、それまでの科学的通念を打ち砕いたのは、かれこれ20年以上前のことだ。
このなかでドーキンスは、ダーウィニズムの最初の原則に立ち返り、「何が進化において選択されていたのか」と問いかけた。
彼の答えは、「種」ではなく、生物の情報の最も基本的な要素である「利己的な遺伝子」だった。
ドーキンスは現在、イギリス・オックスフォード大学教授であり、進化生物学について数多くの著作を発表している。
オックスフォードにあるドーキンス宅で行われたインタビューでは、日常生活における科学の役割が語られ、多くの人々が抱いている科学理論に関する誤った認識が指摘された。
また、人間のある特定の行動は、はるか遠い過去の出来事により、何らかの方法であらかじめ“プログラム”されたものだという通念をわかりやすく説明し、さらに「ヒトゲノム計画」(人間の全遺伝情報「ゲノム」を解読する国際プロジェクト)についての現代の神話も打破している。



