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[司会]
デニス・ケアリー(Dennis Carey)M&Aグループ 創設メンバー
[出席者]
アレックス・マンドル(Alex Mandl)テリジェント 会長兼CEO
デイビッド・ボーネット(David Bohnett)ジオシティーズ 元CEO
エド・リディ(Ed Liddy)オールステー卜 会長兼CEO
デイビッド・コマンスキー(David Komansky)メリルリンチ 会長兼CEO
デニス・コズロウスキー(Dennis Kozlowski)タイコ・インターナショナル 会長兼CEO
ヤン・レシュリー(Jan Leschly)スミスクライン・ビーチャム 前CEO
ラジ・グプタ(Raj Gupta)ローム・アンド・ハース 会長兼CEO
マッキー・マクドナルド(Mackey McDonald)VFコーポレーション 会長兼CEO
ビル・エイベリ(Bill Avery)クラウン・コーク・アンド・シール CEO
ニコラス・ムーア(Nicholas Moore)プライスウォーターハウスクーパース 会長
ティグ・クレケル(Tig Krekel)ヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ 会長兼CEO
「時間を買う」という理由は本当に正当化されるのか
アメリカ・オンラインとタイム・ワーナーの合併計画は、ここ5年間ほどビジネス界を席巻している2つの重要な潮流――インターネットの台頭とM&A(企業の合併・買収)の復活――が一つになったことを示す象徴的な出来事だ。
M&Aは、たしかに過熱気味ではあるが、それでもなおインターネット市場への莫大な投資が牽引役となって、この流れに棹差すことだろう。そしていまや、多くの経営者がM&Aに自社の命運を賭けるという状況にある。
そこでHBR誌では、「ニュー・エコノミーにおけるM&Aの役割」をテーマに、この世界で百戦錬磨の経験を持つ経営者たちによる活発な議論を紹介することとした。
アリゾナ州スコッツデールで行われた「M&Aグループ」による会議の一環として設けられたこの討論会では、企業の買収と社内部門の育成とのトレードオフ問題をはじめ、M&A戦略の変遷、M&A後の企業統合を成功裏に進めるための秘訣といった、重要かつタイムリーなテーマがいくつも取り上げられた。
M&Aグループ ─M&A Group─
1999年にデニス・ケアリーがヤン・レシュリー、デニス・コズロウスキーと共に設立したグループで、「買収意欲に富んだCEOのクラブ」を自認する。現在40人のメンバーから成るこのグループの目標は、ビジネス戦略としてM&Aに興味を持つCEOを集め、非公開のフォーラムにおいて議論をしたり、経験を共有したりするというもの。メンバーは半年に1回開かれる会議に参加するほか、グループのウェブサイト(www.themagroup.com)でさまざまな情報へのアクセスや、専門のコンサルティング会社の意見を聞くことができる。
ケアリー(以下色文字):M&Aは期待したほどの成果を上げていない、という調査報告があることをご存知の方もおられると思います。こうした意見について、ご自身の経験からどう思われますか。M&Aは本当にやるだけの価値があるのでしょうか。
マンドル:「ほとんどのM&Aが失敗に終わる」という説には賛成できません。1970年代、80年代のM&Aについてならば、そのような結論もありえるかもしれませんが、私自身の経験から言えば、今日、多くの企業、特にシスコシステムズやワールドコムといった、いわゆるニュー・エコノミーを背景に活躍している企業では、戦略的M&Aの力を無視するわけにはいきません。
過去3年間、ニュー・エコノミー時代を生きる多くの企業にとって、買収による成長こそ成功のカギとなってきました。このような企業が株式市場で資金を集めるうえで、M&Aが最も有効な手段であったと言っても過言ではないでしょう。



