-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
従業員をリストラせずコスト削減を試みる
コストを削減して利益を確保する。これはいつの時代にも共通する経営課題である。たとえ景気がよくても悪くても変わらない。
そのような時、まず槍玉に挙がるのが「人件費」である。もちろん、理解できないわけではない。リストラに踏み切れば、確実に株式市場は好材料と判断し、当然株価が上昇するからだ。
1997年のことである。イーストマン・コダック(以下コダック)は「1万人のリストラと年間4億ドルの人件費節減」を打ち出した。すると数日後には、その株式時価総額は20億ドルも跳ね上がった。ここ10年間を振り返っただけでも、同様の事例は枚挙に暇がない。
しかし、従業員のリストラに踏み切らなくとも、コストを削減することは十分可能だ。たとえば、設備投資のスリム化に努めれば、はるかに大きな価値を、しかも持続的に生み出せる。それも、「ほぼ間違いなく」である。
このことは、筆者のコンサルティング経験――この13年間に、業界を問わず200社以上をクライアントとしてきた――が裏づけている。
では、具体的に何から手をつけるべきだろうか。一つ注意してほしいのは、大規模プロジェクトを延期したり、中止したりしたところで、万事が解決するわけではないということだ。
いくら規模が大きいといっても、それが予算全体に占める比率は20%がせいぜいだろう。むしろ、事実上ノー・チェックで承認されている少額投資について「本当に意味があるのかどうか」、厳しい目を向けることが大切である。
ちょっとした支出というものは、そのほとんどが実は不要不急であり、削ったところで大勢に影響を与えたりはしない。ところが現状はと言うと、残念ながらマネジャーにはささいな支出をチェックするだけの時間がなかったり、あるいはやる気に欠けていたりするため、いたずらに見過ごされている場合がほとんどだ。
実際に試してみればわかるが、無駄な投資を発見することは、そう難しいことではない。たった8つのチェック・ポイントを心得ておくだけで、計り知れない効果を手にできる。支出を抑えれば、キャッシュフローが大幅に増大し、企業価値に多大なる貢献をもたらす。
現に、筆者が調査したところでは、設備投資を15%削減できれば、株式時価総額を30%向上させることも不可能ではない。そのうえ、リストラを避け、従業員たちにいままでどおり活躍してもらえるのだから、願ったりかなったりだろう。



