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This article was based on "Creating Individualized Corporation/The Path to Self-Renewal at General Electric."
現代マネジメントのパラドックス
世界のどのような大企業も、その成長の原動力を探りに歴史をさかのぼると、社会や顧客に新しい価値を提供しようとした創業者、次の時代を担った個人、あるいは同様の人々の活力へと行き着く。
そして、一人ひとりのエネルギーや専門性を増幅させる「場」(プラットフォーム)として組織が形成され、成長軌道を描いていった。企業の設立初期において、「個」の活力が成長の源泉であることは、これまでの史実が証明している。
ところが、成長が進み、現代的なマネジメントのアプローチや経済合目的なビジネスモデルが形成されるにつれて、企業組織は次第に人間の持つ力を破壊したり、制約したりし始めた。
「組織とは、CEO(最高経営責任者)に顔を向け、顧客に尻を向けているものだ」という、ゼネラル・エレクトリック(以下GE)の会長兼CEO、ジャック・ウェルチの言葉は、この様相を見事に表現している。
実際、何百何千という大企業のライン・マネジャーたちは、スタッフ部門からの口うるさい要求と干渉に疲れ果てている。組織は複雑に細分化され、ほしい情報を自由に入手することすらままならない。
果てには、煩雑な社内事務に忙殺され――最も重要であるはずの――「外界との接触」がおろそかになるという傾向が顕著になっていく。これは本末転倒というものである。
この10年、多くの大企業がこの問題を認識し、試行錯誤を重ねてきた。たとえば、デジタル・イクイップメントやゼネラル・モーターズ(以下GM)では、官僚的組織が起業家精神の妨げになっているとして、社内からの干渉を受けないよう隔離し、新しいアイデアの創出と具体化に取り組む「スカンク・ワーク」という環境を整えた。
IBMやコダックは、新しいプロジェクトを独立子会社としてスピンオフさせ、本体の複雑な構造や圧力からの解放を試みた。



