パートナー企業の選定理由と重視した点
志村 生産管理システムの刷新に当たって、複数候補の中から最終的に当社(SCSK)をパートナーにご選定いただき、当社の次世代型ERP「PROACTIVE」への全面移行を決めていただきました。ぜひ、お聞きしたいのですが、SCSKを選んでいただいた理由は何だったのでしょうか。
橋本 我々が最も重視したのは、先ほど申し上げた「拡張性と内製化への対応力」でした。エフピコはもともと、特定の言語を除けば自社開発能力が非常に高い会社です。そのため、自分たちで開発やカスタマイズを進められる自由度の高いプラットフォームが不可欠でした。
SCSKの「PROACTIVE」は、ローコードプラットフォームを採用しており、外部ベンダーに依存せず内製で柔軟にアプリケーションを追加できる設計になっていた点が、我々のニーズに完全にフィットしたのです。
もちろんコストも重要ですが、最終的な決め手は、技術面とサポート面での提案力でした。我々は「魚を与えられる」のではなく「魚の釣り方を覚える」ことができるようなパートナーシップを求めていました。SCSKは、我々の自立を支援し、ともに成長していく「共創」の姿勢を示してくれました。
志村 ありがとうございます。まさに、当社が「PROACTIVE」で目指している「お客様との共創」という思想と合致する部分です。ガチガチに固まったパッケージを導入するのではなく、お客様自身が主体となって改善を回せる仕組みを提供する。そのために私たちは、ローコードという技術とオープンな設計思想を採用しました。市場環境の変化やビジネスの発展に合わせて、自分たちの求めるシステムにたえず進化させていくことができるのです。現場主導の改善が回る仕組みであり、製造の“型”と拡張性を両立させることで、段差の少ない移行と将来の改修の容易さも実現しています。その点を評価いただけたのを嬉しく思います。
プロダクトユニット長 CPO
志村 尊 氏
TAKERU SHIMURA
刷新の先に見据える「AI活用」とは
志村 「PROACTIVE」への刷新によって、モダナイゼーションと内製化の基盤は整いましたね。今後は第3の軸であるAI活用が本格化するフェーズかと思います。
橋本 はい、まさしくこれからです。まずは、今回のプロジェクトで作成した膨大な要件定義書や設計書、最新のソースコードといった知見をすべてAIに学習させ、社内FAQ(Frequently Asked Questions)やナレッジ検索の高度化に取り組んでいます。これにより、担当者への問い合わせを減らし、自己解決を促進できると考えています。
中期的には、AIによる開発支援も視野に入れています。部分的なソースコードをAIが生成し、人間がそれを組み合わせていくことで、開発効率を飛躍的に高められると期待しています。
志村 素晴らしいですね。「PROACTIVE」もAIネイティブな次世代型ERPとして、PROACTIVE AIを中心に置き、各種基幹データをリアルタイムで取り込み、AIによる分析、可視化、示唆を提供します。
現在のエフピコさんではまだ導入されていないですが、機能としてはERP内に蓄積された社内データだけでなく、市場環境や生産状況、原材料の市況、天候などのあらゆる外部データともリアルタイムに掛け合わせることができます。
橋本 SCSKのそうした先進的な取り組みには大いに期待しています。将来的には、AI活用は、さらに踏み込んだ方向に進むのではないでしょうか。たとえば、AIエージェントを「人材」や「社員」として捉え、管理監督するという考え方です。
これからの人手不足の時代、定型的な業務はAIエージェントに任せ、人間はより創造的で例外的な対応に集中すべきです。そうなると、IT部門の役割は、AIエージェントを「社員」として採用・管理・育成する、言わば「エージェント人事部」のような機能へと進化していくかもしれません。
志村 「エージェント人事部」、非常に面白い視点です。AIエージェント同士の連携や、人間との協働のあり方が今後の大きなテーマになるでしょう。当社もERP領域におけるAI活用のパイオニアとして、そうした未来の課題に挑戦し続けます。
橋本 その際に重要になるのが、AIをブラックボックスにしないことだと思います。AIエージェントが「何をして、どう判断したか」が常に可視化されているホワイトボックスな仕組みでなければ、結局は新たな属人化、ならぬ「属AI化」を生んでしまいます。人間がAIを管理し、ともに成長していけるような仕組みづくりを、ぜひ一緒に進めていきたいですね。
志村 システムでできることは飛躍的に増えていきますが、一方でガバナンスやセキュリティなどの問題もますます重要になっていきますね。当社も肝に銘じて取り組んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。
SCSK株式会社
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