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投資の価値は金融市場が評価する
経営戦略の目的はいつ何時でも明確である。株主価値の増大を目指して投資の意思決定を行うというものだ。しかし、いざ実行に移すとなると、そう単純なものではない。
価格や需要がつねに変動する市場においては、ある特定の投資が企業価値にどのような影響を及ぼすかを予測することは難しい。そのような環境にあって、マネジャーは意思決定を行い、起こりうる可能性を洗い出し、その一つ一つの発生確率を割り出し、そしてリスクの総量を評価することに多大な時間を費やしている。
にもかかわらず、ある特定の投資判断について、全員が合意に達することは稀である。人によって拠り所とする経験も観点も異なるため、そこから導き出される結論も当然のことながら異なってくる。だれの結論が正しいかを判断することはきわめて難しい。
しかし実際は、唯一の正解というものは存在する。金融市場から導き出される解である。金融市場は投資から生まれる価値に対する最終的な決定者であり、不確実性が価値に及ぼす影響を算出することにも長けている。
金融市場のルール(discipline)を適用することで、マネジャーは、主観に頼って将来を判断する愚を避けられる。不確実性の下で価値を評価する際、市場から得られる客観的な指標を用いることができるからだ。
それでは、どのような場合に客観的な意思決定ができるのだろうか。我々が見るところ、そのルールには3つの要素がある。
・創出されるオプションの観点から意思決定を行う
・価値とリスクに関して市場から得られるあらゆる情報を考慮する
・経済的な観点で妥当と考えられるかぎり、オプションの購入、もしくはリスクの低減に必要な金融商品を用いる
市場のルールを適用することで、意思決定方法のみならず、意思決定そのものが変わる。その例として石油業界を見てみよう。



