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優れたリーダーは高業績を生み出す
ビジネスマンに「優れたリーダーとはどんなことをしているのか」という質問をぶつけてみると、さまざまな答えが返ってくるはずだ。戦略を立てる、社員を動機づける、企業ミッションをつくる、文化を醸成する、といったものだろう。
次に、「優れたリーダーとは、何をすべきなのか」と尋ねたらどうだろう。おそらく決まって、リーダーがなすべき唯一無二の仕事とは、結果を出すことだと答えるのではないだろうか。
だが、どうやって結果を出すのか。社員から最高の業績を引き出すために、リーダーに何ができるのか、何をしなければならないのかという不思議は長いこと解明されていない。今日では、リーダーシップにまつわるこの疑問から、ちょっとした産業まで生まれている。実に何千人もの「リーダーシップの専門家」が経営幹部の分析と指導を職業にし、戦略、財務、組織についての(あるいはこの3つをすべて合わせた)壮大な目標を実現するリーダーをつくり出そうと腐心している。
だが実際に、人材や組織を観察すると、その多くが効果的なリーダーシップを欠いている。原因の一つは、最近までどのようなリーダーシップが高業績を生んでいるのかを数字で示す研究が、ほとんど行われてこなかったことである。リーダーシップの専門家は、推論や経験や直感をもとにアドバイスを行っている。そうしたアドバイスは、的を射ていることもあればそうでないこともある。
コンサルティング・ファームのヘイ・マクバーは、世界中の経営幹部2万人の中から無作為に選んだ3871人を対象に、最近、調査を実施した。この調査から効果的なリーダーシップの疑問について、多くの部分が解明されたのである。
この調査によれば、リーダーシップには6種類の異なるスタイルがあり、そのスタイルがそれぞれ異なる「こころの知能指数」(EQ)を基盤にしている。6種類のリーダーシップ・スタイルはそれぞれ、企業、事業部門、チームにおける仕事の環境に、ひいては業績に直接的で重大な影響を及ぼしていると思われる。
調査からわかった、おそらく最も重要なことは、最高の結果を出しているリーダーは、1種類のリーダーシップ・スタイルだけに頼っていない、ということだ。たとえば、ある1週間に限って観察したところ、状況に応じて、6種類のスタイルの大半を切れ目なく次々と用いていたのである。
6つのリーダーシップ・スタイルを、プロゴルファーのバッグに入っている何種類かのゴルフクラブにたとえてみよう。
試合の行われているゴルフコースで、プロゴルファーは自分がどんなショットを打つべきかを考え、それに合わせてクラブを選ぶ。クラブの選択に迷うこともあるだろうが、たいていは無意識のうちに選んでいる。目の前にある課題を理解し、それにふさわしい道具を素早く取り出し、正しく使いこなす。影響力の強いリーダーがしていることも、これと同じである。
では、リーダーシップの6つのスタイルとは何だろう。どれをとっても、長年にわたって企業で働いてきた人に衝撃を与えるような奇抜なスタイルではない。実は、どのスタイルも、企業でいろいろな立場にある人たち(リーダー、フォロワー、またリーダーでフォロワーなど、さまざまだろう)が、その名称や内容を聞けば、思い当たるフシのあるスタイルばかりである。



