リーダーは部下に、どんな資質を育んでもらいたいと思うのだろう。いかなる困難に直面しても粘り強く「やり抜く力」(グリット)だろうか。もちろん、それは大切である。どんなチームにも、成功に向かって努力し、ある程度の犠牲を受け入れる覚悟のあるメンバーが必要である。

 しかし、私が同じくらい重要だと考える資質がもう一つある。それが品格だ。ここで言う品格とは、優雅な身のこなしや宗教的な振る舞いのことではない。そうではなく、人としての礼儀正しさ、敬意、寛大さ、節度といった資質のことである。そうした資質を備えた人の周りには、一緒に働きたいと思う人が自然に集まってくる。

 グーグルが実施した「プロジェクト・オキシジェン」という研究の結果を見てみよう[注1]。これは、チームを成功に導くマネジャーの資質を特定するために行われた、複数年にわたる研究プロジェクトである。

 その結果、リーダーにとって、チームを生産的で成果志向に導く能力はたしかに重要だとわかったが、それと同じくらい、落ち着いた態度を保つこと、一対一で直接話すミーティングの時間を確保すること、現場でチームと一緒に問題解決に取り組むこと、そして社員の職場での人間関係や社会的なつながりに関心を持つことも大切だということが明らかになった。