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社会に不可欠な存在でありながら、消耗品のように扱われているデジタルデバイス。そこに新たな価値を再定義し、持続可能な社会へつなげていこうとしている企業がある。中古スマートフォンを、バッテリー交換や独自の研磨技術によって“新品同様”に再生して販売するニューズドテックだ。単なるリユースに留まらず、「エイジングケア」という新たなアプローチで価値創造に取り組む同社のビジネスモデルに着目した。
95%以上の継続率を誇る手厚い品質管理体制
いまや、スマートフォンやPC、タブレットはビジネスにも生活にも深く根差している。利便性は飛躍的に高まったが、同時に深刻な社会課題をもたらしたことは見逃せない。急速なデジタル技術の進化に伴い、短いサイクルでの買い替えが一般化したことで、モバイル端末の使い捨てが定着。希少なレアメタルなどの資源の枯渇や、不適切な廃棄による有害物質の拡散などが進んでいる。
この課題に真正面から向き合うのが、2009年創業のニューズドテックだ。単に中古品を取り扱うのではなく、モバイル端末のライフサイクルすべてを一気通貫で担う体制を整備し、新品同様に再生して必要な台数・用途・期間に応じ、柔軟に提供している。
「当社は、モバイル端末を消耗品ではなく、時間をかけて育み、長く付き合うパートナーと捉えています。そのため、『エイジングケア』という考え方の下、内側と外側の両方からモバイル端末のケアをしています」と話すのは、代表取締役社長の粟津浜一氏。肌や体の健康を維持するためエイジングサインを見つけてケアをするのと同様に、モバイル端末も「壊れてから買い替える」のではなく、「劣化の兆候を早めに見つけて整える」ことを大切にしているという。
たとえばスマートフォンの場合、外側からのケアに相当するのはバッテリーやパーツの交換、外装の研磨だ。
同時に、バッテリー劣化や温度上昇といった「目に見えない不調」のモニタリングなど、一般には見過ごされてきた内側もケアし、新品同様に再生する。そのために、スマートフォンの健康状態を可視化するアプリ「スマホカルテ」も独自に開発しているほどだ。
「特にバッテリーは、当社の意識調査において、中古だけでなく新品でも劣化や充電不足に対する恐怖感があるという結果が出ています。すでに『スマホカルテ』でバッテリー劣化や端末異常の事前検知はできますが、さらに進化させた特許技術で常時モニタリングができるアプリケーションの開発も進めています」
こうした手厚い品質管理体制が評価され、すでに300社以上が同社サービスを導入。中古スマートフォンには「状態」への懸念がつきまとうが、ニューズドテックの製品が他社品と一線を画していることは、95%と非常に高い継続率が示しているといえよう。
