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今日の経営者は、評価指標が企業業績にもたらす影響を理解している。しかし彼らは、評価指標が企業戦略に不可欠なものだとは考えていない。
企業トップは、業績を飛躍的に上げるために新しい戦略を打ち出し、革新的な生産プロセスを導入する一方で、依然、ROI(投資収益率)や売上増加率、営業収入といった、これまで何十年間も使ってきた短期的な財務指標を使い続けている。
このような経営者たちは、新しい目標とプロセスを監督するための新しい評価指標を導入することを怠っている。そればかりか、旧い評価指標が新しい施策に適切かどうかについて、疑問すら持っていない。効率的な評価指標は、経営判断を行うプロセスにおいて、不可欠なものの一つでなければならない。
DHB誌1992年4-5月号に掲載された『新しい経営指標〝バランスト・スコアカード〟』の中で提唱した「バランスト・スコアカード(balanced scorecard)」は、企業トップに対して、さまざまな戦略目標を首尾一貫した業績評価指標に落とし込むための、包括的な枠組みとなる。このバランスト・スコアカードは、製品、プロセス、顧客、市場開拓といった重要な領域にブレークスルーをもたらすマネジメント・システムであり、単なる評価指標以上の意味を持っている。
このスコアカードによって、経営者は異なる4つの視点を持つことになり、その4つの視点の中にいろいろな評価指標を設定する。スコアカードは、従来の財務指標に欠けていた、顧客、社内業務のリエンジニアリング、企業革新や改善運動といったものの実績を測り、財務指標を補完する。スコアカードの評価指標は、伝統的に利用されてきた指標と、いくつかの重要な点で一線を画している。
もちろん、すでに多くの企業が、地域や部門ごとにその事業運営や在庫などの数量を測る評価指標を数多く持っている。しかし、このような部分的な測定に使われる指標は、いずれもボトムアップによるものであったり、偶発的な過程から生まれてきたものでもある。しかし、スコアカードに設けられる指標は、組織の戦略目標や競争上の必要性に基づいてつくられる。そして、4つの視点の中から、限られた数だけ重要な指標を選択させることで、社員たちをこの戦略的指標に集中させていく。
伝統的な財務指標は、前期に何が起こったかを教える情報であるが、経営者が次の期にどうすれば業績を改善できるかは教えてくれない。しかし、スコアカードは、企業の現在と将来の成功の基礎を築くことを目的としている。さらに、伝統的な測定方法とは異なり、スコアカードの4つの視点が教える情報は、本業利益のような外面的尺度と、新製品開発のような内面的な尺度とのバランスが図られている。このバランスを備えた指標のおかげで、経営者は異なる業績評価指標同士のつじつま合わせをしたこともわかるし、また、いくつかの成功要因同士が矛盾しないように調整し、将来の目標の達成に貢献する。
現在、業務プロセスのリエンジニアリング、TQC、社員の個の確立といった領域で、地域や部門別に改善プログラムを導入しようとしている企業が多く見られるが、そのほとんどの企業には、これらさまざまな改善プログラムを一つに統合していこうという意識が欠けている。



