市場の開放、競争の激化、また売上げアップの必要性に直面するなかで、経営者の多くは、クロスボーダーでの合従連衡を90年代の取り組むべき課題のひとつに挙げている。海外部門における合従連衡の戦略的メリットは大きい。新規市場への参入や技術・スキル・新製品の獲得、また固定費や経営資源の共有には、合従連衡は都合のよい戦略なのである。ただし、すべての合従連衡が成功しているというわけではないことは、過去の多くの失敗例を見れば明らかである。にもかかわらず、経営者は、クロスボーダーの合従連衡を行い、その初期の段階に共通な問題に直面して初めて、成功させるための秘訣が解明されていないことに気づくのである。

 クロスボーダーにおける合従連衡をよりよく理解し、どうすればうまく機能するかを探り出すために、調査・分析を行った。対象は時価総額ベースで見た時に、日・米・欧各々のトップ50にランクされる企業、計150社の関与する提携とした。このうち、49例の提携買収について詳細な分析を行ったが、それらの規模、所在地、対象とする産業、提携形態は様々である。目的をとってみても、新しい市場にただちに参入するためにというものから、新製品の開発・商品化、技術導入、コスト共有まで千差万別である。

 この分析を通じて、クロスボーダーの合従連衡は、多くの問題を引き起こしうるものの、国際化戦略において十分有効な手段であるということが明らかになった。実施後2年間に、約3分の2の企業が、経営上もしくは財務上の難問に直面するが、多くの場合それを克服している。今回分析した49例のうち、双方のパートナーにとって成功といえるものは51%であった。双方にとって失敗というものは、全体の33%であった。

 それでは、経営者はどうしたら成功の確率を高められるのだろうか。今までのケースから学ぶことのできる"合従連衡における知恵"とは一体何か。以下に我々がこの分析から学んだことをまとめてみよう。

□クロスボーダーにおいては買収と提携のどちらが有効かという議論はさておくとすると、買収も提携も成功率は約5割である。しかし、買収は、本業もしくはすでに活動を行っていた地域でより効果を発揮しているのに対し、提携は関連分野や新しい地域へ参入していく際に有効であった。

□パートナー企業に力の差がありすぎる場合の合従連衡というのは、ほとんどうまくいっていない。成長のために必要なスキルがスムーズに伝達されず、業績が伸び悩む結果となる。

□合従連衡の効果を持続する鍵は、当初の予定や目的を軌道修正しながらの展開ができるかどうかにある。このためには、被買収会社ないし提携の対象部門が独立体としての裁量を持ち、かつ、親会社側がそれに対して柔軟に対応できることが必要となってくる。

□持ち株比率に関しては、どちらか1社が過半数を握るより、均等であるほうが成功しやすい。しかし、持ち株比率よりさらに重要なのは、経営上のコントロールの所在が明確にされていることなのである。

□提携を解消した場合、その75%以上のケースで一方が他のパートナーの株を買い取っている。

 これらが、クロスボーダーの合従連衡を成功させるための鍵といえよう。