洋服に興味を持ったのは、3歳の頃だ。洋服屋のおままごとで、自分が描いたお姫様用のドレスの絵を部屋中に並べ、母や祖母に「このドレスはどうですか」と売っていた。当時、「素敵な服を描くと、素敵なお姫様になれる」のだ、すごい発明をした、と思った。その時と同じことを、今日までずっと繰り返している。

 子どもの心で物を見ていたい。年を重ねると、できることは増え、何事もうまくなっていく。しかし、その過程で世界を単純に処理するようにはなりたくない。だから、ふと気になったり引っかかったりした感覚を、できるだけ留めておく。その積み重ねが、クリエイションにつながっていると思う。

 過ぎていった年齢の自分は、消えてしまうわけではない。3歳の自分も、20歳の自分も、ずっと自分の中に存在している。「マメ クロゴウチ」のコレクションも、異なる年齢の自分が同時につくっている感覚がある。「この服は3歳の私が考えた」というように。

 同時に、年齢を重ねることによって、新たに見えてくるものがあるのも面白い。たとえば、ゴミ集積所の電柱に縛りつけられている緑色のネットを見て、中学生の私なら「ゴミのネットなんて汚い」と思うかもしれないが、いまの私には、空の青とグリーンのコントラストが美しいドレスのように感じられる。