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個々のスキルが優れていても
チームとして優れているわけではない
優れたギタリスト、ドラマー、キーボードプレーヤー、歌手が集まっても最高のバンドになるとは限らない。個々のスキルがそのグループの優れたパフォーマンスを保証するわけではないからだ。
このことは、トップエグゼクティブチームにも当てはまる。企業は特定の職能分野において最高の専門性を持つ人材を最高マーケティング責任者(CMO)や最高財務責任者(CFO)などとして雇用しているが、こうしたシニアエグゼクティブが集まっても、必ずしも一つのユニットとして機能するわけではない。彼らは自分たちをCスイートの一員であると強く認識しているとは限らず、目標が一致していないことが多く、集団全体の成果に基づいて常に評価されるわけでもない。この状況は変える必要がある。
そう結論づけたのが、グローバルなリサーチアドバイザリー企業のガートナーが、トップエグゼクティブが部門横断的にどう連携しているかを調べた研究である。ここでは2023~2024年に、米国を拠点とするCxO(最高責任者)200人を対象とした調査、および、世界のCEO303人とその他上級幹部153人を対象とした調査を実施した。驚くことに、Cスイートの幹部のうち、Cスイートの同僚を自身の「本当のチーム」だと考えているのはわずか31%だった。
彼らの分析によると、CMOはマーケティングチーム、CFOは財務グループといったように、幹部らはみずからの部門の一員であると認識していた。これは些細なことに思えるかもしれないが、機能不全と業績不振を生む行動や力学に寄与していると、この研究の筆者らは結論づけている。
とりわけ、自社のCスイートが直面する課題に対処する準備ができていると考えているCEOがわずか34%という同調査の結果を考慮すると、これは憂慮すべき事態だ。
「ほとんどのCスイートは、結束したチームとしてではなく、独立したリーダーの集団として機能している」と筆者らは指摘している。その一因は、企業が個々のスキルやパフォーマンスに基づいて昇進を決定しており、部門横断的な連携やエグゼクティブリーダーシップチームの一員としての適性を十分に考慮していないことにある。そのうえ、各CxOにその部門特有の業績評価指標の達成を求めることで、断絶はさらに深まることになる。
ガートナーの人事プラクティス担当ディレクターで、研究の主筆者であるレイチェル・ジュリーは、「事業部門の成功が、必ずしもCスイート全体の成功につながるとは限らない」と述べる。
ガートナーは、チームダイナミクスに最も精通し、その対処に熟練している最高人事責任者(CHRO)が、この問題の解決を主導すべきだと提言している。本研究によれば、Cスイート間のやり取りがうまくいかないのは、個々のリーダーが、協働、紛争解決、意思決定、エグゼクティブラーニング、影響力といったエグゼクティブチームに求められる中核的なリーダーシップ行動を重視しすぎているか、軽視しすぎているからだ。
たとえば、協働を過度に重視するCMOは、意思決定に多くの部門を巻き込もうとして、合意形成に熱心に取り組むあまり、決定に時間をかけすぎてしまう。その結果、新製品の発売や広告キャンペーンに遅れを招く可能性がある。



