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情報技術は、皮肉なことに新しい協力関係を可能とすることによって企業の競争力をつける。最も興味をそそることは、顧客のデータをシェアすることによる、情報のパートナーシップである。
この点を最もよく表しているものは、たぶん有名な失敗例であろう。Allegis社はユナイテッド航空の経営陣の新機軸で、総合的な旅行会社をつくり出そうというもくろみで、ハーツ社とウェステインホテルを買収したが、そのベンチャービジネスは、ウォール街の懐疑的な姿勢により、すぐに挫折した。今ではAllegisの名を出すときに"あの大失敗の"と付け加えない人はいない。しかし現時点で振り返ってみれば、現在の情報技術が提供すべきもの――ほんの数年前には全く実用的ではなかった協調活動の機会――を求めた先見の明があるマーケットの合同の試みでは一番進んだ例であろう。
旅行業のお客の立場からAllegisを見てみよう。ハーツのレンタカーを借りるときにウエステインホテルを予約、ウエステインホテルに宿泊しユナイテッド航空カードのマイル数を多くする。関係部門が情報をトランスミット、記録、そして引き出すための強力な手段のサポートによって、データベースをシェアする。そして会社はお客に対して、旅行サービスやインセンティブ、そしてサポートが単一の情報源で行われているような姿を見せる。最終的にはAllegisの一般客のためのオーダーメードの旅行プログラムを考えることができる。
Allegisの苦い経験は、他のだれにとってもよい教訓となったが、情報システムから生まれる提携は、所有権に基づく必要はないということである。ウォール街が大変的確に見抜いたように、ユナイテッド航空のトップ・マネジメントは顧客サービスのシナジーを開発できたかもしれないのに、こうした実務上の利点を謳歌しているようには見えなかった。実際、航空会社が共通データに関心があるかもしれないこうした無数のビジネス(レンタカーやホテル)を運営する方法を知っていたのだろうか。業界内の多くの会社が「金融のスーパーマーケット」化から戻ってきた保険業界でも、同じ教訓を得ている。相互関連的な産業の経営者は、お互いを乗っ取るという筋書きではなく、リレーショナルデータベースを使って顧客に一緒にアプローチするという筋書きをつくっている。
そして全く新しいチャンスが登場した。それは、アメリカン航空とシティバンクが連合したようなやり方の、買収ぬきの提携である。その取り決めには、航空会社のマイレッジカード(利用距離により特典が出るカード)のプログラムがクレジットカードの利用者にも拡大される(カードの利用1ドルが1マイルに相当)という点がある。こうしたクロス・マーケティングでアメリカン航空では顧客のロイヤリティがより高まったし、クレジットカード会社は新たに信用供与に値するお客へのアクセスを得た。この提携はMCI社(長距離電話の主要会社)を含んで拡大され、マイレッジカードの特典に長距離電話の伝票1ドルを1マイルに換算するようになっている。最近ビザとマスターカードの最大の発行元であるシティバンクは、AT&Tがユニバーサルカードとしてクレジットカード市場に参入したことに対して、1460万人のビザカードの保有者をMCIに振り向けるという提携を始めている。
情報提携によって、異種の企業が新しいインセンティブやサービスを提供できるようになったり、共同のマーケティングプログラムに参加できるようになる。新しい流通の経路を得たり、経営の合理化を導入したり、収入増大といった有利さを手に入れることができる。提携は規模の拡大と相互販売の機会をつくり出す。かつては把握できなかった顧客にも手が届くようになることによって、小さな会社を大きい会社のように見せ、感じさせ、そして振る舞わせることができる。提携によって顧客の市場に照準を合わせてサービスすることにより、大きな会社も小さく、身近なものにみせることができる。一言でいえば提携は差別化のための新しい基礎を用意するのである。以下にもっとその例を見ていこう。
情報提携の長所
市場で協力することにより、大量の電子的な情報を細かい点まで詳細に、瞬間的に、そして比較的廉価に受け渡しすることになる。そして、ここ数年で電子データベースを供給し、外部の利用に供するシステムの価格や性能に劇的な改善が加えられた。新しいコンピュータのスピードと安くて容量の多い記憶装置によって、以前には考えられないほど情報がつくり出されたり、相互に関係づけられたり、検索できるようになる。そして情報を利用する側にとってはオーダーメードのようなやり方になる。光ファイバーを利用したネットワークが広範囲で出現することによって、遠隔地へのデータの供給が実際には光速のレベルまで改善された。
さらにどの経営者でも財政的あるいは技術的な支出を減らしたいと思っている。提携はハードウエアやソフトウエアへの投資を分担することにもなる。つまり、ソフトウエアへの投資、そしてこれらを使いこなすためにかかるかなりの費用を分担することができるのである。一定の内容を持つソフトウエアの開発のコストは特に大きいし、大企業と競争する小規模あるいは中規模の企業にとって大きな問題を巻き起こす。現実にはソフトウエアへの投資は、1億ドル単位ともいわれ、何社かがその(ソフトウエアの)購買力を統合しない限りは、より小さな企業に対して計り知れない参入障壁となっている。
同様に組織的な学習の運営のコストも、特に急速に変化する今日のような技術環境においては、うなぎのぼりになる。学習の近道はないが、情報提携によって最先端の技術への投資というリスクを軽減するという道が開ける。



