企業からメインフレームが消滅したことについて、これまで非常に誇張されてきた。多くの企業が情報システム(IS)組織の分散化を経験した時期が過ぎ、その振り子はもう一度逆戻りしている。企業はデータセンターを統合化し、中央の情報システム要員の権限を強化して、企業全体にわたる技術標準と作業手順を確立しつつある。このような再集中化に向かう動きを駆り立てている要因には3つある。

1. 複数のデータ処理設備にかかる費用が高いこと。なかでも、特に多くの散在している施設にかかるソフトウエアのライセンス費用が高く、企業はもはや統合化によるコスト効果を無視できなくなっている。ほとんどの場合、たった2つのメインフレーム・センターだけで、十分余裕のある運用を確保できるのである。

2. 情報システム専門職の労働市場統計が変化していること。需要は伸びているのに供給は減少しており、中央の情報システム要員として明確なキャリア・パスを用意することは、能力のある人材の採用の機会を提供することになる。

3. ビジネスの諸機能を統合化し、新しい事業機会をサポートするような全社的規模の情報システムが重要であること。企業の情報ニーズを幅広くとらえられる中央の情報システム要員は、分散化された情報システム部門よりもはるかに効果的に統合化のために働くこともできる。これこそ集中化がもたらした真の意味での戦略的利益である。

 しかし、再集中化とは塹壕に身を隠し外に対して反応しないような、"情報システム官僚主義"に後戻りすることを意味するものではない。その代わりに複合的な組織のモデルが出現してきており、それは、これまでの集中化と分散化の伝統的なトレード・オフを、これを最後に超越させることだろう。

 仮に、実線が伝統的な中央集権的情報システム組織における上下関係を象徴し、点線がそれらに対する分散化組織のそれを象徴するとするなら、この新しいモデルにはさしずめ"縞線"で表される関係が必要である。それは、情報システム管理者とユーザーがまさしく力を共有するものである。集中化された情報システム組織は、企業の技術基盤や技術要員の選抜・訓練に責任を持つことになる。しかし、新規コンピュータ・アプリケーションの開発は、ユーザーの設定した優先度や予算に従って、分散化の流儀のもとに扱われることになる。

 多国籍企業では、事業部の情報システム管理者とその要員は中央の情報システム組織に所属していて、中央の情報システム組織は要員の採用や訓練及び昇進管理をしている。とはいっても、要員数や予算については事業部長とCOO(事業担当統括役員)との間で調整が行われる。情報システムの担当役員はそのような調整が話し合われる会議に出席することもなければ、事業部の情報システム予算を擁護することもない。新規のアプリケーションの優先度は事業部内に置かれた運営委員会によって設定され、当該部門の情報システム管理者はそれに出席していても投票権のない記録係としてである。情報システム要員の能力評価は事業部長と中央の情報システム担当役員との共同責任で行われ、ライン部門のほうの評価により重みを置いている。

 こうした複合的な情報システム組織は、以前の組織モデルが持っていた欠点に対応するものである。電算化の初期には、企業はコスト効果を高め、強力な専門性を促進するために情報システム機能の集中化を図ったが、それはややもすると停滞に陥りやすく、ビジネス上の圧力や戦略から遠く離れてしまい、ユーザー・ニーズに対して不感症になる官僚主義を代償とするものだった。各事業部や各部門が自前の情報システム部門を持ち、自前のシステムをつくり上げるといった分散化とは、こうした問題を解決するための試みだったのだ。それは、予算配分に関する争いを最小にし、ユーザーとの親密な結び付きを固めるものだったが、それ以上に昇進をあきらめた情報システム要員を生んでしまった。それに対し"縞線"の情報システム組織は、コストの節約とユーザーに対する応答性及び分散化の柔軟性を備えた集中化による統制といった、集中化と分散化の両方の長所の組み合わせを提供してくれる。

 この結論は、リサーチ・ボード社で私が指揮し、同僚と行った非公開の研究から引き出されたものである。我々は会員である30の企業を訪問して回った。そのうち10社は製造業、10社は金融業で、残りの10社は運輸業、小売業及びエンジニアリング業や建築業のグループの中から選ばれている。それらすべての企業の情報システム担当上級役員にインタビューし、また何人かのCEO(最高経営責任者)やユーザーについてもインタビューを行った。

 我々が研究対象とした企業はすべて大企業である。一番小さな企業でも年間売り上げは、約20億ドルであり、半数は100億ドルを超える売り上げを上げている。リサーチ・ボード社では過去にさらに範囲を広げた研究をその半数を超える企業に対して行っており、それによってそれまでの研究に加えて独自の時系列的な視点でとらえることができる。

メインフレームの再登場

 集中化の利点は、企業の技術基盤をつくり上げるメインフレームやネットワーク、データ処理やデータ保管の設備といったコンピュータの運用面で明らかである。