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最近まで、広告やプロモーションの効果を信じることはほとんど信仰に近いものであった。企業のマーケティング部門は、テレビ番組の視聴率評価や景品の引き換え状況についてのおびただしい統計を集めて、マーケティング・コストと実際の販売高を入念に比較検討するかもしれない。しかし、これらのデータのいずれも、本当に重要なことは測定していない。すなわち、広告やプロモーションがなかったとしても達成できたであろう販売高を、どれほど上回ったかという点を測定していないのである。
新しい種類のマーケティング・データのおかげで、こうした状況は変わりつつある。このデータは、スーパーマーケットやドラッグストアで使用している共通商品コード・スキャナーから得られる実際の消費者の購入情報と、これらの消費者が受けるテレビ広告やプロモーションの頻度やタイプとを相互に関連づけるものである。"シングルソース"(統一情報源)から得られるこの消費財のデータによって、マネジャーたちは広告や商品、価格などのマーケティング・ミックスの相乗効果を測定することができる。
前向きな先輩マネジャーたちは、シングルソース・データ(統一情報源から出たデータ)は――その利用方法さえ身につければ――自分たちの会社のマーケティングの生産性を高めるためにまたとない機会を提供してくれることに気づき始めている。しかしそうするためには、新しいマーケティング戦略を開発すること、そして会社の販売部隊の責任を抜本的に見直すことが必要である。
戦略立案段階において、マネジャーたちはマーケティング・データの評価を変え、販売高や利益の増加分を経営目標に入れる必要がある。これは、限界生産性分析に基づいて、広告とプロモーションの適正なバランスを常に吟味するということを意味する。
既存商品の販売を促進するための、新鮮で革新的なテレビ広告の探求は常に行われなければならない。このような広告が発見されるまでは、広告費用を削減するほうがよいかもしれない。全国的な広告キャンペーンに先立ち、"先行市場"としてシングルソース・テストマーケットを利用することで、この方法を実施する上でのリスクを大幅に削減することができる。
マネジャーたちは、収益性の向上に寄与する"まねすることの困難な"プロモーションのために、非生産的なプロモーションの削減も行う必要がある。そして新しいデータを利用し、ある特定の市場と主要顧客のために特別なプロモーション活動を実施することも必要である。
このダイナミックなマーケティング環境においては、販売部隊は別の非常に重要な仕事を行うことになるだろう。それはつまり、会社の広告とプロモーションの消費者吸引力及び小売業者の収益への効果を実証することである。小売業者とメーカーの両方に利益をもたらす新しい戦略は、商品を取り扱うための誘因として広告やプロモーションを利用するという伝統的な方法にとって変わる必要がある。
結局、先輩マネジャーたちは、長年にわたって形づくられてきた広告とプロモーションに関する伝統的な知恵の多くを捨てなければならないのである。この広く実践されながら支持されなかった考えを、確実なデータに基づいたマーケティング戦略に置き換えることは、新しい種類の市場戦力を手に入れるためのカギである。
伝統的な知恵の弊害は何か
マーケティング・マネジャーたちは、今まで広告やプロモーションによって付加される販売額を測定できなかったために、検証されていない数多くの仮説に頼らざるを得なかった。例えば、広告の働きを信じる人たちは、どんな場合でも少ないよりは多いほうがよいと考えがちである。こうした考えは別の仮説、すなわち広告というものは売り上げを上げるためには長い時間――何カ月も、ときとしては何年も――かかるものだという仮説によってしばしば正当化されている。
付加される販売額がどの程度かという点についてのデータが今までは不足していたために、広告が効果を出し始めてもその影響は短期間であると一般的に信じられてきた。もしも広告費を増やしてもその増加分に見合うだけの売り上げが1年以内に得られないならば、広告をストップするべきであると大ざっぱに決められていることが多い。



