-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
大規模で、集中化された独占的なコンピュータ・システムを通して、私は自分のキャリアを築き上げ、またアメリカン航空は、それ以上にそのビジネスを確立した。これらのシステムの開発には何百万人/月の工程数を要し、何十億ドルをも費やすことになったが、この市場での優位は莫大だった。結果として我々の経験は、情報テクノロジーの持つ競争的で組織的な潜在能力を、はっきり示すことになった。僭越さを承知でいえば、我々は1つの時代を画することに手を貸したのだ。
その時代も終わり、我々は、新たな時代に入ろうとしている。そして、つい5年前には最良の結果を導いた考え方が、実際には利益を生み出さなくなっている。この新しい時代に、情報テクノロジーは、競争の場において以前より広く使われるようになったが、効果も薄くなり、競争上の成功の切り札ではなくなるだろう。抜け目のないマネジャーは、ライバルに対して策略を練る際、真っ先に独占的な電子的仕組みをつくり上げることよりも、彼らの組織がすでにうまく行っていることを増強する目的で、一般的に利用可能なツールを最大限利用し、改善することに焦点を合わせるようになる。会社の中において彼らは、スタンドアロンのアプリケーションを開発することよりも、電子的基盤を構築することに焦点を合わせることになり、それにより組織の構造を変えたり、意思決定の新たな方法をサポートすることが可能になるだろう。
今や、1970年代、1980年代のコンピュータによる成功話などだれでも暗唱できるのだ。
□SABREは、アメリカン航空の予約・発券システムで、最終的にはコンピュータ処理による予約・発券システム(CRS)になった。またApolloは、もう1つの主なCRSであり、それらは航空産業におけるマーケティングや流通・販売方法を変えた。
□アメリカン・ホスピタル・サプライのASAPオーダー・エントリーや在庫管理システムは、会社にとって医薬品の莫大な売上増加を成し遂げ、会社を業界のリーダーへ押し上げた。
□ユナイテッド・サービス・オートモビル・アソシエーションは、通信システム、データベース、エキスパート・システム、画像処理技術の集積である独自の自動化された保険システムを用いて、保険業界のライバルをサービスの質においても、保険料の伸びや利益率においても、常に凌いだ。
□ミセス・フィールズ・クッキーズは、自動化された店舗管理ネットワークである小売オペレーション・インテリジェンス・システムを信頼して、費用がかかり抑圧的な本部の官僚主義を排除し全国400の小売店チェーンを築き運営している。
これらの例や、ほんの一握りの他のよく知られているコンピュータ・システム(情報技術の栄誉の"殿堂入り"をするような)は、電子技術のアプリケーションにおいて、競争優位の確立や組織効率の向上といった重要な一章を象徴している。しかし、そのページがめくられる時がきた。1984年にHBRでF. ウォーレン・マクファーランは、情報技術の潜在的競争力に関して大きな影響を及ぼす論文を発表した(1)。彼は、企業の管理職たちに情報システムがいかに会社に利益を与えるかを尋ねた。情報技術は競合他社の参入に対し障壁を築けるか、情報技術は顧客の切り替えコストを高めることができるか、情報技術によってサプライヤーとの力関係を変えることができるか。その結果、彼は多くの企業にとって、その答えはイエスであると主張するに至った。独占的なシステムをいち早く開発することにより、パイオニアは業界を変革できるのだ。
しかしながら、現在では答えはどんどんノーになっている。以前よりも情報技術を無視することがより危険になっている一方で、依然として情報技術それ自体で持続的なビジネス上の優位性をつくり出せると信じることもまた、より危険になっているのだ。もはや古いモデルは適用できなくなっている。
インフォメーション・ユーティリティー
30年前の近代的コンピュータ開発の最初の波以来、新時代を動かしてきたのはコンピュータ技術の大きな変化である。我々はついに(そしてやっとのことで)コンピュータ機能が持つ本来の潜在力を利用し始めたのだ。我々はコンピュータができることを変えたのだから、コンピュータを使って我々が何をするのかも変えなくてはならないのだ。



