我々の果たすべき責任

 私はこの会社にとって全くの新顔であることから、マネジャー諸君は、自らの任務完遂に当たって何をなすべきかということに関する私の考えを知るよしもないわけである。また、ともに仕事をするに当たって、私が何を諸君に期待しているかもご承知ないであろう。まず手始めに、それらのことを知る権利が諸君にはあるのだ。

 私は3つの課題について語りたい――すなわち、約束ということ、我々はいかに業務を遂行するかということ、及びマネジャー諸君に対する私の基本原則、の3つである。ついでながら、これらの考え方と基本原則は、いかなる産業のいかなる類の組織にも――小企業から、わが社のような大規模で複雑な多部門企業に至るまで――等しく当てはまるものであると、私は信じている。株式公開企業のマネジャーとして、我々は、株主のために魅力ある利益を上げること、及び従業員に対し魅力ある労働機会を提供すること、という2つの冒すべからざる約束をしている。このことは、次の2つのことを意味する。すなわち、株主に対しては、株主がわが社と同等の環境に投資した場合に得るであろう収益以上のそれを(配当と株価を通じて)提供しなければならないということ、及び全従業員に対しては、全員が公正な扱いを受け、各人の利益と能力にマッチするような、各人の成長のための機会を得られることを保証すると約束していることだ。

 以上の約束を果たすためには、我々は、年間平均12%(つまり、インフレ率を4~5%上回る水準)の1株当たり収益の伸び率と、20%以上の配当を維持しなければならない。それと同時に、我々は安定した収益パターンをも維持しなければならない――例えば、経済の下降局面では、収益は減少傾向をたどるであろうが、前回の同様局面における水準を下回ってはならないのである。こうした収益パフォーマンスを確保するならば、株主は平均以上の配当を与えられ、従業員に対する義務を満たすに必要な成長も維持されるであろう。

 この収益パターン達成には、各製品市場部門、各工場についても、同様のパフォーマンスが要請される。我々は各業務ユニットごとに、純収益性と、各投入資本(資本をすべて配分した後の)当たりの収益を、まず決定し、ついでそれらを後づけるであろう。あるユニットが我々の収益目標を満たしていないときにはいつでも、それは企業にとっての許すことのできない乱費と見なされるであろう。

業務遂行に当たってのポリシー

 我々が従わねばならない、いくつかの基本的な業務遂行上のポリシーが存在する。まず、プランの開発と承認から事を始め、次いで、計画された結果を達成するのである。すべての部門マネジャーは、年間業務遂行プランと、より長期的な戦略プランを、配下の業務の重要分野ごとに開発し、実行すべきである。本社マネジメントは、再検討会議において、それらプランを吟味する。方向性を誤り、支持しがたい戦略は膨大な問題を引き起こしかねないことから、本社は各業務ユニットが採用するであろう戦略的方向に評価を下すことに、とりわけ強く力点を置くであろう。

 それらプランがひとたび本社マネジメントの承認を得たならば、部門マネジャーは、計画上の成果を達成しつつある限り、業務を遂行するに必要な全権を与えられ、本社の介入は最小限でとどめられるであろう。結果がプランから著しく離れている場合、部門マネジャーは、迅速な本社の行動を予期すべきである。

 結果がプランから歴然とかけ離れているときには、担当のマネジャーは、未達成の根底にある理由を突き止め、90日以内に当初のプランに再び乗せるために必要な矯正的行動を開始することを求められる。もし、当初のプランが現時点の環境から全面的にずれていることが判明した場合には、マネジャーはプランの練り直しを図り、わが社の成長と収益の目標が達成されるような代替プランを考え出さねばならない。

 原則として、計画された結果が達成されないということは、そもそもの始まりからプランがよくなかったか、その実行が誤っていたかのいずれかを意味する。それゆえ、我々は、マネジャーのパフォーマンスの判断に当たっては、彼らがよいプランをいかに効果的に開発し、ついで自らもくろんだ結果をいかに達成するか、という観点からするつもりである。高品質のプランを生み出すことができないとか、あるいは不可避的に立ち現れる業務遂行上・競争上の障害を乗り越えることのできないマネジャーは、それらの能力を有する者にチャンスを与えるために、ポジションから外されねばならない。

 わが社の顧客と、わが社自身の業務の双方のために、絶え間ない生産性の改善によって、わが社の収益を伸ばしていくというのが我々の意図するところである。わが社の製品・サービスの聡明なる活用を通じて、顧客が自らの生産性の改善を図るのを手助けすることによって、顧客に真の価値を提供するよう、我々は常に努めなければならない。顧客がそのような利益を得るのに我々が役立ちうると信じられない場合には、我々はセールス機会を避けるか、潔く放棄することすら辞さない。

 同様に、わが社自身の業務についても、少なくとも上昇一途の製造コストを相殺する程度の生産性改善を毎年達成すべきである。ところで、生産性の改善は、現実的な達成を実地に示すことができなければ、どの程度進んでいるかを知ることができないものなのであるから、我々は生産性の改善を常に測定し、改善プログラムをわが社の全ビジネス・プランの中に組み入れるつもりである。