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私はシアトル周辺に4店舗のレストラン・チェーンを持っている。そして、私の会社はただ1つの理由のために存在している。すなわち、他の人々を幸福にするためである。お客が我々のレストランを出るときに、世の中に対してもっと楽観的な気持ちになったときは、いつも我々は自分の仕事をしたことになる。よい食事や気持ちのよいサービス、あるいは心を和ますような雰囲気によって、我々がお客の気分を高めることに失敗したときは、いつも自分たちの仕事をやっていないということになる。
我々がお客を満足させればさせるほど、我々は会社の目標を達成したことになるのである。このようなものの見方は自明のことであり、取るに足りないことのように思われるかもしれない。役に立ち、事業を行う上でのよいものではあるが、多くのビジネスマンが日々のあふれるような細かい仕事の中で、当然みんなが理解しているものとして見逃してしまうモットーや格言のように。しかし、私はこのことが企業が成長するため、あるいは利益を出すためには大変重要な鍵になることだと理解している。
多くの試行錯誤の後に、私はお客の満足を確保できる戦略を生み出した。そして、その戦略は我々のレストラン・ビジネスにおいて奇跡を起こしたのであった。私は同じように他のビジネスにおいても奇跡を起こすことができるものと確信している。
それは保証を与えることからスタートする。しかし、その保証は喜んでお金を返しますというような虫食いの跡がある古くさい約束事ではなく、お客がその企業の商品やサービスを提供されることから、満足を得られるという保証である。次はその保証を継続していけるように従業員に完全な責任と権限を与えるためのシステムをつくるということになる。最後にシステムの欠陥を見つける過程がくる。欠陥とは、お客に不満足を与える組織、教育、あるいはその他の社内のプログラムの中の問題点である。
私は、これらのすべてのことを「究極の戦略」と呼んでいる。この名前は大げさに聞こえるかもしれない。しかし、この戦略は企業が存在し、成功するための究極の理由を再定義したり、あらゆるシステムの欠陥の究極の理由を見いだすことの重要性を強調しているがゆえに、私はこのような名前をつけることは正当であると思う。
微笑を込めたサービスと疑惑の種
究極の戦略の起源は、私が10年前に共同で設立したレストラン事業の成功の中にある(私は最近、違ったレストラン事業を開始した。しかし、この戦略は変わっていない)。ステーキ専門で、大きなバーを売り物にしていた最初のレストランが大変うまくいったので、我々は2店目を開店した。5年前、私は3店舗のレストランを持っており、売上高は250万ドルで、適度な利益を出していた。明らかに我々のお客の多くは満足していたのである。
しかし、私は私が受け入れることができないと思うほど多くの苦情があったことと、それに対して我々の応答が無計画であったことに悩まされたのである。我々が苦情に対処しようとしなかったというわけではない。我々はにこやかに謝ったのである。そして、サービスが遅いということについて苦情を言ったすべての客に対しては、無料でデザートを提供したし、我々の従業員の1人がスープをお客にかけた場合などは、クリーニング代を喜んで負担した。予約どおりに受け付けてもらえなかったとか、サービスが乱暴であったなどという苦情の手紙を送ってきたお客に対しては、無料の食事券を送ったのである。
だから、苦情に対処しなかったのではなく、対処するやり方が全く間違っているように思えたのである。デザートを無料でお客に提供するためには、マネジャーからの承認が必要であった。あるいは、スーツをクリーニングするための費用を払うには、書類に書き、マネジャーにサインをしてもらわなければならなかったのである。また、お客が苦情を書いて送ってきて、初めて我々がサービスの悪さを改善する、という考え方も私は好きでなかった。また、私は無料で食事券を送るだけで十分であるとはとても確信できなかったのである。
さらには、我々が苦情に対処しても、我々が受け取る苦情の数や苦情のタイプに何らの影響を与えるようには見えなかったのである。苦情のタイプのほとんどは、サービスが遅いということと食品の品質が悪いということに関してであった。そして、このことは従業員の罪ではなかった。彼らはみんな、苦情には最優先して対処しなければならないということは知っていた。しかし、彼らはその苦情に対してどのように対処してよいのかを知らなかったのである。我々は全員足踏み車を回しているだけで、改善する方向には全く進んでいない状態であった。
保証について
そして5年前、『エクセレント・カンパニー』という本が流行していた当時、私はかなりの時間を費やして、わが社がエクセレンス(卓越)している点に関する10カ条を書いた。そして、それを我々のトレーニング・マニュアルの中に入れたり、レストランやオフィスに張りつけたりした。約1年後のある日、だれかが私に6カ条目は何であったかと尋ねた。そして、私は彼女に答えることができなかった。そのとき、私は、もしも私が当社のエクセレンスに関する10カ条を覚えることができないならば、確かに他のだれもできないであろうと思ったのである。ということは、従業員に知られている何らの戦略を当社が持っていないということを意味したからであった。



