-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
スカーリング=プローグは自社の目薬を宣伝をするため、雑誌にマーケットリーダーであるバイジン社の製品の名を出している。「新しいオクリアの効果はバイジンの3倍長く続きます」。
カフェイン抜きインスタントコーヒーに濃い色と深い味わいをつける独自の方法を印象づけようと、P&Gは透明のグラスを2つ並べ、そこへ自社の製品(フォルガー)とリーディングブランドであるサンカの製品を注いでみせる。コピーはこうである。「この深みのある濃い色。あなたもフォルガーに変えたいと思いませんか」。
自社の洗剤の優秀性を知ってもらうためにブリストル・マイヤーズはテレビで2つの洗剤の効果の違いを映してこんなコマーシャルを流していた。「これが新しいリキッド・バニッシー。頑固な汚れもライゾルよりもきれいに落とします」。
こういった例に見られるように、比較広告は「わが社のほうが競争相手よりも優れているんだ」という主張の強力な、より人目を引きやすい方法である。かつては、広告の世界にもマナーが守られていた時代があった。ライバルの報復も恐れていた。だからそのころは「自社」対「X社」といった露骨な比較は行われていなかったが、今日では、自社の製品を他の大会社やライバルと平気で比較してみせる。その際に相手の正体を明かすことをびくびくしたり、用心深く配慮するといったことはほとんどなくなった。
比較広告もその方法によっては、あなたを連邦政府裁判所の被告席に座らせる原因になることだってある。というのは、軽蔑されたと感じたライバルが、あなたは事実を曲解しているとか、あるいはでっち上げたと主張して訴えるかもしれないからだ。訴えられた事実と、その結果のもたらす印象から、消費者はあなたの会社の調査データを本当かなと思い始め、製品の品質まで疑いの目で見かねない。そうすると会社全体のイメージを落とすことにもなってしまう。まして万一訴訟に負けたりしたら、広告の撤回や損害賠償の支払いといった義務が生まれ、会社に大きな打撃を与えるだろう。
この問題は、レーガン前大統領が商標法によって、比較広告をしている会社を訴えやすくしたことにより、昨年(1988年)の11月から新しい様相を見せ始めている。1988年の改訂商標法によると「本人または他の人の所有物、サービスまたは広告において、その本質や性質、品質、地理的根源を誤って伝えるものは」だれでもこの法によって裁かれる可能性がある、ということになる。この言い回しは、ここ43年間比較広告を取り締まっていたランハム法の抜け穴をふさぐ役目を果たすものである。ランハム法では自分の所有しているものについて誤った主張をすることを禁じたが、「他人の」所有物に関しては何も触れていなかったのだ。
もちろん、法律が厳しくなったからといって、ライバルの間違った広告を理由に損害を申し立てる訴訟が殺到するかどうかについて述べるのはまだ早いであろう。しかし、こういった訴えはランハム法下においても決してなかったわけではない。すでに60件もの裁判による判決が公表されている。このうち30のものは露骨な比較広告がはびこり始めた1985年以降のものだ。件数自体はそれほど多くないと思われるだろうが、しかし判決前に決着したケースや裁判官による判決以外の形で終わったケースがそれ以外にたくさんあることは間違いないだろう。
さらに言えることは、比較広告が問題になったとしてもすべてが裁判所に持ち込まれるというわけではないということだ。たとえ問題になったとしても多くの場合は裁判ではなく、テレビ局との話し合いで片づけられたり、あるいはBBB(商事改善協会)の国家広告局に持ち込まれる。ここへは侮辱されたと思う側が抗議を持ち込むこともできるのである。しかし我々のアンケート調査によると、多くの会社はライバルを不正競争法の1つであるランハム法を根拠に訴訟に持ち込むほうを選ぶという回答だった。というのは、民事訴訟手続きに基づいて認められる幅の広いディスカバリーの強力さ、相手会社の広告を撤回させる仮処分の迅速さ、そして損害賠償請求の可能性を考えるとそのほうが有利だからだという。
こうしてみると、比較広告をする側は裁判所に持ち込まれる準備もしておかなければならない、ということになる。準備のないところを訴えられたら、あなたはほとんどなすすべがないだろう。広告をつくる前に万全の注意をはらっておくことが、万一裁判所から呼び出しがあったときに役に立つことになるのだ。訴訟への予防線の1つとして、連邦裁判所が比較広告をどこまで許すかを知り、その知識を応用して工夫された広告をつくることを考えなければならない(その上、もしかするとあなたは比較広告における名誉棄損と侮辱を取り締まっている州に本社を置いているかもしれない。そう考えてみるとあなたは二重に法律をチェックする必要があることになる)。
我々は連邦裁判所の記録を分析して、いったいどういった状況にあれば訴えられなくてすむのか、またさらに重要なポイントとして、どういったことが要素となって広告が取り締まられるかを調査した。我々の狙いとするところは、ライバルが不備な点を見つけることができず、それを証明できないような広告をつくることである。もちろん、たった1つの論文によってこの問題についての完璧な防衛策を提供することはできない。しかし、もしあなたがここに示した原則に沿って広告をつくれば、あなたの広告がよそからの攻撃にさらされる可能性はずっと低くなるであろう。



