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製造業と同様、サービス産業においても固定施設や在庫品、さらには運輸への投資における規模の経済性は存在する。以下のケースのように、通常、これらの業務は一点に集中させるほうが有利である。
□修理を行う施設では、スペア・パーツやサービス拠点の数、あるいは少なくとも需要の低い品目の在庫場所を制限することによるコストの削減が考えられる。
□完成品や商品の顧客への配送のためには、中央拠点から運搬車を発進させるのがより効率的である。
□支店がマーケティングや販売の拠点として機能しているだけでなく、自動車のディーラーのように完成品の在庫も行っている企業は、在庫場所の一点集中化により、しばしば余剰や効率を絞り出せることがある。
□アメリカの郵便公社のように、2点間の配送や通信を行う機関は、運輸施設をハブに集中化することによって多大な余剰を生み出す。航空会社のハブ・ネットワークや、フェデラルエクスプレス社のメンフィスにあるハブも同様に効果的である。
しかし、物流機能を集中化しようとするインセンティブは、しばしば組織のその他のインセンティブと相入れないことがある。現在の顧客や潜在的顧客に近づくため、例えばマーケティングや販売部門は、顧客との数多くの接点を求めるかもしれない。
多くの企業においては、おのおののサービス機関は、組織のあらゆる機能を行うフル・サービス機関である。販売店がマーケティングや販売の事務所を持ち、商品の在庫を行い、それを顧客に配送し、さらにはサービス機能を保有していることもある。こういう制度は便利ではあるが、集中化と分権化をそれぞれ求め推進している企業のマーケティング部門と管理・運営部門との間にテンションを生み出す。
こういったテンションからサービス産業における異なった新案が生まれてきた。それが「ストアフロント」(store-front)というものである。これは、マーケティングと管理・運営の機能を2つの全く別の機関に分けようという考えから派生してきたものである。ユニオン・カーバイド社がガス関連事業におけるストアフロントのアイデアから何を得たか見ることにしよう。
カーバイド社は、ガス及びその関連品を製造し、同社のリンド部門の子会社である全国各地の配達業者を通して配送している。顧客は、ガスとともに使用する溶接棒のような"ハード製品"も手に入れることができるのである。リンドはトレーラーに積み込んだ小さな鉄のシリンダーや大きなタンク車で、中央拠点から支店のある所まで、窒素、酸素や他のガスを出荷する。それからこれらのシリンダーは、トラックに乗せられ顧客のもとへ届けられるのである。かつて支店は、運営面、マーケティング、そして管理面の業務を併せ持つフル・サービス機関であった。数年前、カーバイド社はガス充填事業の一部を集約化する道を模索していた。大胆にも、カーバイド社の役員は、フル・サービスの販売店のいくつかを撤廃することを提案した。特に、彼らは支店に対し中央拠点からシリンダーを顧客に発送することを望んだが、いくつかの支店については、注文をとり、顧客との接触を行い、そして飛び込み客への販売用のガスのシリンダーやスペア・パーツの在庫を保有することのみを行う「ストアフロント」に選定した。
リンドは中央の工場からガス及びその関連品を発送することによって在庫管理・シリンダー運搬のコストや二次的在庫の管理から生じる固定施設のコストを節約できるのである。ストアフロントの運営コストは、適量のシリンダーの運搬やハード製品の在庫コスト同様、低いものとなる。



