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自動化への激しい波の中で、マーケティング及び販売部門は、次に手がけるべき、まだ未開拓の分野である。周知のように、情報システムは過去10年間に技術と製造の領域に著しく浸透した。自動化のおかげで、製造会社の直接労働費は、製造費の平均8%ないし12%というわずかな比率にまで低下した。従ってこれ以上、製造のための労働費を切り詰めることは、ますます難しくなってきた。コンピュータ、半導体、(推進動力部を除いた)飛行機体、金属工業、自動車のように技術的に進歩した産業では、投資をいくら増加しても収穫は逓減するばかりなのだ。
一方、マーケティング及び販売の自動システムに対する投資は、生産性向上の点で驚くべき可能性を秘めている。マーケティング及び販売の費用は企業の総費用(単なる生産費ではない)の中で平均15%から35%を占める。だからマーケティング及び販売に注目することは、生産性向上のために歓迎すべきことなのだ。そればかりではない、マーケティング及び販売活動の重要性は、次第に大きくなっている。米国通商代表部及び全国会計士協会によると、製造業者のサービス活動は、付加価値全体の75%から85%を占めるという(1)。
このことは、ある製品の価値尺度としての値段は、原材料や労働費の反映というよりも、むしろ、しかるべき製品特性を選択したり製品ミックスを決定したり、製品を入手しやすいように配送するといったマーケティング関連のサービス費用を反映していることを意味する。
我々が調べた例では、進歩したマーケティング及び販売情報テクノロジーによって生じる売り上げの増加は、10%から30%以上にも及んでおり、投資収益率は100%を超えることもしばしばだった。この収益は俗にいうフリーランチ(無料のように見えてその実そうでないもの、結局高くつくただのもの)のように見えるかもしれないが、事実なのである。
大企業は複雑なマーケティング組織を持っているので、我々のいわゆる「マーケティング及び販売生産性(marketing and sales productivity=MSP)システム」にとってのよい見込み客である。全国顧客管理、ダイレクト・セールス、テレマーケティング、ダイレクト・メール、(DMやカタログなどの)印刷物発送(受注からアフターサービス業務に至るまでの顧客維持管理)、広告、顧客サービス、ディーラー、流通業者、こうしたものすべてのごたごたが能率向上のための機会を与えてくれるのである。もっとも、小企業であっても、MSPシステムを採用すれば、驚くべき成果が得られよう。
ある年商70億ドルの電子工学メーカーと年商800万ドルの受注印刷会社によって行われたマーケティング自動化のための投資は、それぞれはじめの1年において100%以上の収益をもたらした。電子工学メーカーの場合は、500人を超える販売部員のために販売支援システムを導入したのである。売り上げは33%増加、販売部門の生産性は31%向上して、しかも販売人員の自然減の比率は40%も低下した。自然減少率の低下は、それだけでリクルートと訓練費用の節減をもたらし、12カ月もたたないうちに同社の投資額250万ドルを埋め合わせる結果となった。受注印刷会社のケースでいえば、ミニコンピュータとテレマーケティングのソフトウエアに対する8万ドルの投資により、売り上げが25%増加し、同社は6カ月もたたないうちに投資額を回収したのである。
マーケティングの生産性向上は、たとえわずかであっても、最終損益に大きな影響を及ぼす。MSPシステムがダブルパンチ効果を持っているというのは、固定費だけでなく変動費までも削減することができるからである。固定費が安く押さえられているということは、損益分岐点が低いことを意味しているのだ。
そこで、図1に示すように、売り上げが一定比率増加すると、営業利益はそれ以上に増加する。一方、変動費が低く設定されているということは、販売するたびに最終損益に寄与する割合が、一層大きいことを意味する。事実、変動費が少なくなると新たな寄与率曲線の傾斜がきつくなるので、資金的な有利性の絶対的規模は、売り上げが増えるにつれてますます増大していく。
こういう科学技術の価値は、すでに実証されているにもかかわらず、マーケティングや販売部門のたとえ一部分にせよ、自動化を行った企業は、ごくわずかである。マーケティングや販売を自動化することから生じる重大な戦略的利益について理解している企業となると、これよりさらに少ないと思われる。初期採用者のほとんどは、信念の問題として自動化を図ったのであり、競争上有利な立場に立つための戦略の一部としてやったのではないのだ。もっと優れたアプローチのためには、まずマーケティング・販売の自動化によって何ができるのか、それがどういう仕組みで動くのか、どのようにして導入すればよいかについて理解することが大切であろう。




