海外に本拠を構えた競争相手は、その低賃金やみごとに磨き上げた技術、ときにはこの両方を武器に、アメリカ市場への攻撃を止めようとはしない。消費者はますますレベルの高い品質と多様性を求めていて、このためメーカーは精度と設計を改め、欠陥を除き、新製品導入比率を加速することが避けられなくなっている。これと共にジャスト・イン・タイム製造方式によって、OEM供給業者には従来の基準を上回る配送やサービスの圧力がかかってきている。アメリカの製造会社を取り巻く課題は驚くほど厳しい。

 幸い製造マネジャーは、こうした課題に対応する新たな経営資源を手にしている。プログラム式オートメーションと総称される一連の技術である。これに含まれるものには、コンピュータによる自動設計(CAD)、コンピュータによる自動製造(CAM)、コンピュータによる自動エンジニアリング(CAE)、フレキシブル製造システム(FMS)、ロボット工学、コンピュータによる統合生産(CIM)がある。

 この進歩によって、何から何まですべて改善できる見通しがたった。コスト、品質、柔軟性、配送、スピード、設計、こうしたものすべてである。アメリカの20社についてFMSシステムを調べた最近の研究によると、こうした会社では同じ仕事をするのに必要な労働の量を50%以上も減らすことができ、製品の総原価を75%も削減していたことがわかった。FMSの設置によって間接作業者やスタッフの数、不良品の率、製品導入に要する時間を大幅に減らすことに成功している。

 ところがアメリカのマネジャーは、こうした利点の成果を取り入れるのが困難だと感じているのがほとんどだ。何年にもわたって製造業者は、家庭で新しい自動車を買うのと同じ方法で新しい設備を導入してきた。つまり古いのをお払い箱にして、新しいのを持ち込み、一層速くスムーズで経済的になったドライブを楽しむ、そして生活は今までどおり、というわけである。

 しかし技術について、「今までどおり」では害悪でしかない。FMSやその他どんな先端的な製造システムでも、その採用は古い自動車をヘリコプターに置き換えるというほうがもっとぴったりすると経営者は気づいている。こうしたシステムの革命的ともいえる能力を理解して対処しなければ、それは役にも立つが厄介者ともなり、カネがはるかにかさんでしまう。

 ヘリコプターを買えば、新しい仕事にも就けるし、今までとは違ったリクリエーションもできる。どこかずっと遠隔の地に住んで、新しい仕事のやり方を編み出し、立地についても新しい見方ができる。こんなことをしなければ、ヘリコプターの購入や新しい技量の獲得と保守管理に使う一財産は、無駄になってしまう。要するにそれを徹底的に使いこなすぞと決心していないのなら、ヘリコプターを買うべきではないということだ。それなりの準備が必要なのである。

微細な管理

 新しい製造技術は企業組織にショックを与えかねない。ちょうどヘリコプターが家庭生活を混乱させるようなものである。製造組織を微細で統合されたものとする一大飛躍が必要だからだ。オートメ化された機械は、どんな熟練機械工も及ばない微細な仕様に合わせて部品を加工できる。しかしこれには、はっきりとして、あいまいさのない指示がコンピュータ・プログラムという形で必要である。

 新しいハードウェアのおかげで自由になることも増えるが、成功と共に失敗の可能性も増える。だからマネジャーの側に従来にない技量が求められる。つまりイメージをまとめ上げる技量であり、それに細部まで詰めようとする情熱もいる。例えば、工程が汚れるのを防ごうとすれば、機械に対しては、単に図面に作業者は「部品からやすり屑を取り除くこと」と、なにがしかの「感情」を持っている人間を頼りにした注意書きをしておくだけではすまない。新しい機械設備を使用するときには、何もかも数学的な正確さで書き上げなければならない。やすり屑を取り除くブロアーはどこにあるのか、ブロアーを操作しているとき、部品をどちら向きにするのか、などである。

 その上、オートメ化された機械の操作をつかさどる手順には柔軟性が全くないので、上流工程の欠陥が下流工程に及ぼす悪影響は拡大される。部品そのものを手で扱っている機械工がいないのだから、部品を固定装置に戻したり、切断機を動かしたり、ちょっとした機械加工や操作のミスを修正する者はだれもいない。また部品の穴や割れ、その他の材料欠陥についても、検査する者はいない。

 機械工のミスを見つける才能に代わるものとして、オートメ化されたシステムのエンジニアや監督者に求められているのは、例えば熟練した機械工が身体で覚えたルールを組み込んだエキスパート・システムといったようなデータベースを丹念に組み込むことか、もしくは技術そのものを科学的に解明することなのである。プロセス・エンジニアはミスを発見するシステム・センサーと、センサーの信号を読み取り、補正動作を始めるか機械を止めてしまうプログラム化した制御装置を取り付けなければならないのだ。