「ある社会が活力とスタミナを持つかどうかを最もよく表すのはメンテナンスの能力である。どのような社会でも、何かを構築しようとするときは一時的であっても活気づくことができる。しかし、常日ごろから物事に行き届いた手入れを怠らないようにする意思とスキルとは極めてまれである」(エリック・ホファーの"Working and Thinking on the Waterfront", 1969年)。

 ホファーの尺度に従えば、米国は活力のある文化を持っている。電気製品の修理サービスだけで年間600億ドルの費用と40万人の雇用者を要している。コンピュータ産業だけについてみても、年間200億ドル以上のメンテナンス・サービス収入を生み出している。エレベーター、建設機械、タイプライター、自動販売機、自動車、工作機械、カメラ、航空機、家庭用電気製品、産業用制御機器、タービン、トラック等々の民間部門で提供されているすべてのメンテナンス・サービスを含めれば、この数字は2000億ドルにのぼるであろう。これはGNPの約6%に相当する。

 しかしサービス業務における経営管理上の統制は、生産にかかわる業務と同じ程度の深さと質を備えているわけではない。その結果、製品の管理手法がそのままサービス面に適用されることが多い。例えば、ある製品のライフサイクルが成熟段階に達したとき、その製品のサービス・サイクルはまさに蒸気を吹き上げ始めたばかりの状態である。サービス担当マネジャーが製品のライフサイクルという考え方を無分別に使うとすれば、その結果は、スペア部品在庫の過大な積み増し、自滅的なサービス価格戦略、現場の人的資源の配置ミス、製品改良プログラムの早まった活動停止である。

 本稿で私は、比較的耐用期間が長く、サービスの必要の高い製品について、そのメンテナンスをコントロールしていく際の考え方を探っていく。このサービス・ライフサイクルというアプローチは、データゼネラル社ではここ数年来定着している。

 サービス・ライフサイクルは、すでに設置、使用され、メンテナンスを必要とする製品を対象とする考え方である。設置、使用されている製品とは、総出荷量と総"消滅"量、すなわち製品の損耗や廃棄、利用者の高級機への移行や買い替え、スペア部品への利用などを原因とする使用量の減少との差である。

 消滅率の推計は減価償却計算に非常に類似している。ある製品が顧客向けに出荷されたときから、毎年毎年ある確率で残りの設置台数が計算され始める。データゼネラル社は、経験を通じて、消滅の確率が製品クラスごとにほぼ一定であることを発見した。出荷されたハードウエアの製品ライフサイクル期間の予測消滅率を広く適用することによって、データゼネラル社は、将来発生する総消滅台数を近似的ではあるがかなり正確に予測しえた。

 累積出荷台数と累積消滅台数との差が、実質的なサービス・サイクルである。図1(コンピュータの製品ライフサイクルとサービス・ライフサイクル)に示されているように、代表的なコンピュータについてみれば、その出荷台数はわずか2~3年後にピークになるが、サービス・サイクルは少なくとも15年は続く。エレベーターの場合は、製品サイクルはわずか10年であるが、サービス・サイクルは100年にもなる。

 データゼネラル社の例では、サービス・ライフサイクルは通常4つの段階を経る。

 1. 急激な成長――最初の出荷から製品サイクルのピークまで。