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名前だけで商品や企業が生まれたり消えたりはしない。あるフォードの車が不運な運命になったのは、エドセルという名前に原因があったわけではなく、IBMの成功の決定的な要因がIBMという文字やその意味する言葉にあったわけでもない。企業の商品やサービスが顧客のニーズにぴったり適合しているかどうかが問題なのである。
これらは事実ではあるが、それでもなお、えりすぐられた名前は、しのぎを削って競争している相手企業に対して、明らかに有利なマーケティングの武器になるし、強力な社名によるブランディング(名付け)の効果は、サービス業では特に重要であると考える。なぜか。それは、サービス業では社名がブランド・ネームだからである。
有形の製品と異なり、サービスでは、商品ごとのブランディングは適さない。製品の場合は、パンパース、アルカ・セルツァー、ブラック・フラッグなどのように、商品ごとの適切なブランド・ネームを付けてポジショニングされ、販売される。消費者は、たとえそれぞれがプロクター・アンド・ギャンブル、マイルス・ラボラトリーズ、アメリカン・ホーム・プロダクツの製品だと知らなくても、製品のブランド・ネームに忠実に行動するであろう。
サービスを提供する企業の場合も、提供する内容には様々な種類があり、例えば、ファースト・クラス、ビジネス・クラス、一般用、あるいは小切手口座とローン・サービスなどがある。しかし、消費者は、それらすべてが1つのブランドの一部だと思いやすい。エイビス、フェデラル・エクスプレス、ホリデイ・インのようなビジネスを考えていただきたい。いずれも全体としてのブランド・イメージを浮かび上がらせる。
このため、サービスを商品とする組織、特に非常に競争の激しい市場に新規に参入する新しい企業や、サービスの分野を拡大したりカバーする地域を広げようとしたりしている企業にとっては、どのような組織の名前を選ぶかがマーケティング戦略全体の中で極めて重要である。
名前は精彩を欠くとしても、成功している企業の例を挙げることはできる。結局は、業績が第一である。それでは、サービス・ブランド・ネームは実際にどの程度重要なのであろうか。その答えはこうである。強いブランディングは、高品質のサービスに対する市場の認知と受容を加速し、一方、弱いブランディングにすると、サービス内容を不明確に理解させたり、伝えたりする失敗の危険性を増すのである。
アレジスの直面した問題を考えていただきたい。エドセルの例と同じように、アレジスという名前は公正な批判の範囲を超えて非難され、それは偶然にも我々の命題を支持することになってしまっている。名前そのものはヒビが入ったビジネス戦略の単なる延長線上にあり、アレジスという傘の下に、著名なブランドであるユナイテッド・エアラインズ、バーツ、ヒルトン、ウェスティン・ホテルズをまとめ、将来の事業として1つのシステムをつくり出そうと計画したのであった。名前が非難が集中する避雷針に変わってしまった原因は、その「戦略」に対する多くの人々の懐疑的姿勢にあった。確かに名前にはヒビが入っている。発表の席でこの名前は「アレジアンス」と「エイジス」との組み合わせであると説明されたが、まさしく説明が必要であり、また明確な発音が行われたとき、それが問題の発生を知らせることにもなったのである。しかし、これはあとからの理由づけである。もし戦略が健全であり、十分に練られていたならば、アレジスはひびの入ったブランド・ネームだと、私たちは言わなかったはずだ。
フェデラル・エクスプレスは、これとは対照的な例である。この名前は強力で適切なブランド・アイデンティティを持っているといえる。すなわち、エクスプレスはサービスの性質とスピードをいきいきと表現し、フェデラルは広い地域をカバーした、恐らくは政府認可の企業であることを示唆している。しかし、もし小荷物の輸送配達能力が卓越しているとはいえず、従業員の礼儀も悪く、彼らの着たプロフェッショナルの雰囲気を持つユニフォーム、トラック、封筒、広告などもないとすれば、フェデラル・エクスプレスは優れた例とはなり得なかったであろう。名前は、洗練され、調和のとれたブランディング・プログラムの裏づけを持つ、経営戦略の一部なのである。
4つの有用なテスト
業績から切り離してブランド・ネームを判断するのが困難であるならば、サービス関係企業の社名を決めるための確実な法則はあるのであろうか。ネガティブな含みがある名前を避けること以外、絶対の法則はないといえる。しかし、現行の名前あるいは予定された名前を使ったブランディングの潜在力を評価する有用な4つのテスト方法がある。これは我々が発見した方法であるが、強力なサービス・ブランドは以下の特徴の一部か全部を持っている。
1. 顕著性 即座にサービスの提供者を判別させ、競争企業と明確に区別させる。



