これは伝統的に保守的な組織の物語である。この組織はより柔軟でより生産性の高い組織づくりに挑戦し、職員たちがもっと強く意義を感じる仕事に彼らを配置しながら、同時にレイオフに頼らずに人員削減を実現するという約束を果たしたのだ。

 問題の組織とは一政府機関であるが、どんな官僚的組織においても、このようなやり方で組織を活性化する方法を採用できないという理由はない。

 その方法とは、組織内の他部署に応援の要求が出たり、一時的な空き職位が出た場合に、プールしておいた一時配転希望者をいつでもさし向けるというものである。管理当局は、これらの希望者の能力を職務と突きあわせて調整する。その努力が実って、多くの一時配転が永続的な配転になっている。

カナダ統計局の現状

 カナダ統計局はカナダ政府の中央統計機関で、約4400名の職員を擁している。そこでは、1983年時点で1975年から1985年の間に職員を20%削減するという活動を鋭意進めていた。さらに、1986年及び1987年の両年に向けて、年率3.1%の人員削減を見込んでいたのである。

 統計局も他の政府機関と同じように、1960年代と1970年初期に急激な膨張をとげた。その結果、インフレに続く景気後退が1970年代の後半にカナダを襲ったとき、激増した職員数に対する批判を受けるはめとなった。

 拡張期に入局した多くの専門職員にとって、先々にわたる昇進の見通しは閉ざされてしまった。不景気の時期に失業するよりはましだと入った大学卒の職員の多くは、ほとんど刺激も報酬も得られない事務的職務について意気阻喪していた。より望ましい職務への移動のためには、障害物が横たわっていた。硬直的な職務分類制度である。それによると各職員は27職群の1つに配置される。これら職群のうちいくつかは8職級に分けられている。

 昇進は競争と試験によっていた。また、昇進にもれた職員は、いつでも選考結果に対して自由に異議を申し立てることができる。職員はいくつかの組合に属していた(現在もそうであるが)。これらの組合は組合員に不公平な取り扱いがあったと考えたときには遠慮なく苦情申し立てをした。既存の側方異動システムは、欠点を持っていた。それはこのシステムが主として昇進頭打ちの職員対策として導入されたものと見られたためである。明らかに異動が昇進だけに限られているシステムは、成長のない時代にあっては適切なものではない。

 問題を総合的に解決するために、カナダ統計局は進行する社会的経済的変化のよりプライオリティの高い分野への対応を図るべく、施策の重点を変えようとしていた。資源の配分を他の分野よりも、経済的成果測定、国際貿易データの質、比較可能性及びカナダ企業統計の精度向上などに重点化しようというものだった。それと同時に、分析資料の作成、州単位以下のデータ及び人口予測などは縮小しようとしたのである。

 自然減員は年間5%以上あったが、計画的な職員削減をこれでカバーすることはできなかった。自然減員は、部署によって異なるからである。事務的職務、データプロセッシングあるいはその他の職員の場合、17%以上の削減が計画されていたが、統計分析職、エコノミスト及びソシオロジストなど高級職務群では、事実上年率5%以上の伸びが見込まれていたのである。多くの部署で余剰人員を抱えている一方、他の部署では人手不足に泣いていたというわけだ。

新システムの適用事例

 機は熟していた。もっと高い報酬と手ごたえのある仕事を求める職員を活用し、同時に変化する組織のニーズに対応する施策を導入するときはきていたのだ。