管理効率とは何か、それと生産性の向上とはどんな関係があるのか。このテーマに関する数多くの書籍や論文を、わたしはここ数年来読み続けてきた。また、多くの企業が、研修プログラムや感受性訓練、参画経営などを導入して、いかに意欲的に経営者の技能向上を図っているかを、実際に見たり体験してきた。同時に、企業が社員を管理者の地位に昇進させるに当たって、次の要因をほとんど考慮に入れていないということも知った。要因とは、部下を管理する能力があるか、意思決定に部下を積極的に参加させられるか、後進の模範的指導者として適格か、といった点である。そのため、新たに昇進したマネジャーを見ると、自己中心的態度、組織拡張主義、独裁的手法といった旧式な経営スタイルを、いまだに踏襲している。したがって、これらの人びともやがて感受性訓練や経営セミナーに参加して、非能率的なビヘイビアを是正する必要に迫られよう。

 要するに、現在あまりにも多くの企業が、過去に自動車産業が製品の品質について犯したような過ちを、マネジャーについて犯しているのである。かつて自動車産業は、"いまつくって、品質はあとで改良する"という方針をとっていた。が、最近ようやく最初から品質のよい車をつくる、という方針に切り替わった。わたしたちはいま、マネジャーについて、そのような方向転換をしなければならない。つまり、悪影響が及んでしまってから、何年も経て軌道修正をするのではなく、最初から有能な人材を雇って、マネジャーに昇進させることを提言したい。

管理スタイルの7典型

 わたしは社会科学でも経営コンサルタントでもない。過去20年間、自動車産業分野で中間管理職として、大勢の部下や上司に接してきた。加えて、1970年代には、ある研究チームに参加して、同僚の石油・自動車産業などの事務所に通った。その間、一度に何週間か続けてマネジャーのビヘイビアを、あらゆる角度からつぶさに観察する機会を得た。

 これまでのわたしの経験によると、監督者としての能力に基づいて、マネジャーを選ぶケースはまれである。わたしの知っているマネジャーの多くは、有能な経営者の最も基本的な要件とされる、ヒューマン・コンディシヨンや人についての理解を欠いている。こんにちでも大多数のマネジャーは、依然としてビジネス手腕や非管理者的地位にあったときの成果を基準として選ばれているのが実状だ。そのためこれらのマネジャーが展開する管理スタイルは控えめに述べても、現在のような経営環境にはついていけないのである。

 ところで、こんにちの一般的管理スタイルは、次の7つのパターンに分類できる。

〔ゴッドファーザー型〕 こんにちでは、チームワークや参画経営が重視されているが、ゴッドファーザー的管理スタイルは、いまだに跡を絶たない。ゴッドファーザー型は一般に、組織については完全なコントロール、従業員には全面的な忠誠を求める。部下は日常業務には自由を与えられるが、また各自の目標は上から指示される。ゴッドファーザー型は多くの場合、外部のライバルと対決して勝つという方法で、常に自己のイメージと自我を育成しなければならない。模範的な社員として認められるためには、リングサイドに立って、ボスを応援していればいいのだ。

 この管理スタイルに長い間慣らされてきた人たちは、やがて自分がマネジャーになったとき、前任者と同じようなゴッドファーザー型になることが多い。あるいは、その逆に消極的で経営能力を欠くケースもある。

 ゴッドファーザーのグループは、一般に目標志向で、油を十分に差した機械のように、能率的に仕事を達成するという定評がある。上司にとっては頼もしいタイプだ。しかし弱点もある。というのは、ほとんどすべての意思決定はトップにゆだねられるから、その目標は自己本位となりがちで、組織全体として見ると、必ずしも最善なものとはいえない。

〔ダチョウ型〕 ダチョウ型は、現状維持を好み、波風の立つことを恐れる。つまり、不愉快な事態に立ち向かうより、ダチョウのように砂に頭を埋めて、嵐の通りすぎるのを待つのがよいとする"事なかれ主義者"である。

 ダチョウ型は、問題を解決するには正面からぶつかっていかないほうがよいと確信し、論争を避ける。このタイプは、その専門分野では有能で高度の知識も備わっているが、マネジャーよりむしろ補佐的地位に向いているケースが多い。というのは、戦わずして前進はとげられないからだ。マネジャーが現状に甘んじると、成長が止まるばかりか部下の士気も弱めてしまう。