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製造物責任危機はたしかに新聞の一面では扱われなくなったが、問題が消え去ったわけではない。製造物責任法の改正で期待された保険料率の低下も、実現したというにはほど遠い。多くの産業において、企業は製造物責任保険料の重荷に依然として悲鳴をあげている状況である。責任範囲の制限を意図した法律がつい昨年制定されたが、この法律は憲法違反と裁定された。逆にアメリカのいくつかの裁判所では、従来の法律原理では企業に過失はないとされた場合にまで、実質的に責任を拡大する基準を設けようとする動きすら見える。
こうした流動的な状況のなかで、確実な、しかも不幸なことが1つある。すなわち、今日のような訴訟社会においては、いかなる会社も告訴の可能性を免れることはできないということである。いつの時代も企業は訴訟の標的になりやすいのである。
最近、筆者は、企業が直面している深刻な製造物責任問題、つまり、そもそもわれわれはいったい何に対して責任を問われるのか、という問題について解答を得るため、広範な判例を調査した。どのような製品設計規準を満たしていなければならないのか、どこまで厳重に製品テストを行なわねばならないのか、パッケージングのリスクとは、製品サービスの製造物責任への影響は、製造物責任訴訟においてはどのような抗弁が可能か。絶対確実な防衛策はもちろんないが製造物責任訴訟に巻き込まれる可能性、とりわけそれに敗訴する可能性を小さくするいくつかの方策は存在する。
製品自体への対策
あなたの会社の製品ないしサービスに欠陥がないかぎり、会社が責任を問われることはない。もちろん、無欠陥、したがって完全な免責は現実にはほとんど達成不能である。だが、この最終目標に向けて努力を重ねることが、破滅的な訴訟を回避するうえでの鍵となる。
傷害の原因となりうる欠陥に狙いを定め、これを排除せよ。広範囲に調査・検討を行なえ。裁判で被告になると、たとえそれが流通経路のどこか別のところでまぎれこんできた欠陥であっても、裁判所がその製品の特性に欠陥ありと判定し、責任を認めることが驚くほど多いことがわかる。
リスクを軽減するための第1のステップは、製品の設計を精査し、他人が使用した場合に、なにか不都合が生じないかを考えることである。裁判所は後知恵の特権をもっていることを肝に銘じておかねばならない。彼らには、その製品はかく設計されるべきであったと述べることが認められているのである。
ゼネラル・モーターズ社がサンフランシスコでぶつかったのが、このような状況であった。市内バスに乗っている時、フローレンス・キャンベルは、バスがマーケット・ストリートから8番街に急カーブで右折したさいシートから放り出され、バスのなかを横切って通路に跳び出した。彼女は何かにつかまって身体を立て直そうとしたが、手すりも吊り革もなかった。18日間入院した彼女は、その後、長年にわたって後遺症に悩まされる。彼女はバスの設計に欠陥があったとしてGMを訴えた。キャンベル夫人は第一審では敗訴したが、カリフォルニア州最高裁は、手の届く範囲に手すりがあったならば、おそらくそれほどひどい傷害を受けなかったという点を彼女が立証すれば十分であると判断した。この結果、GMは設計に欠陥がないことを立証せねばならなくなった。
欠陥設計の訴訟は、企業にとって最も費用のかさむ、やっかいなものとなりがちである。というのは、これによって何をなすべきであったか、そしてもし……ならばどのようなことが起こりえたか、といった灰色の領域に、いやおうなく仮借ないメスが入れられるからである。ほとんどの裁判所も、製造欠陥――この種の案件の場合は製品が明らかに意図したものとは異なっている――とは対照的に、欠陥設計は判定が困難であることを認めている。
判例の歴史から見て1つ明らかなことがある。すなわち、製品が同業他社のどれよりも安全であり、またいかに顧客の期待を満たしていたとしても、別の可能な設計の選択肢を選んでいれば事故を防止できたとすれば、その製品は欠陥ありとされる。どんな設計上の決定も、それが製品の安全性にかかわる場合には、コスト節減、生産の速度や容易性といったその設計の利点と、その決定がユーザーに危険をもたらした場合のリスクとを十分比較検討することが大切である。
製品の設計を評価するさいには、それがユーザーの用途や用法に、どれだけマッチしているかを見定めなければならない。フォード社とグッドイヤー社がかつてやったように、自社の意図した形でユーザーが製品を使うことを期待して、評価の幅を狭めてはならない。1976年にフォード社が出したマーキュリ・クーガーは425馬力エンジンを搭載し、グッドイヤー社のラジアルタイヤを装備していた。シェルビー・レロウが自分のクーガーを時速100マイルを超すスピードで走らせていた時、タイヤの1つがバーストし、これが事故の引き金になった。レロウは死亡し、友人のフロイド・デューガスは重傷をおった。



