同じ製品カテゴリーにおけるメーカー・ブランドとプライベート・ブランド(小売業者が開発したブランド)とのあいだの戦いは、メーカー・ブランド同士の戦いと同じくらい大きな現代マーケティングの特徴となっている。このメーカーとプライベート・ブランドとの戦いも、今では新しい局面に入った。当初は主としてパッケージ製品の業界にしか見られなかった強力な有名なブランド名やプライベート・ブランドが、ファッション業界できわめて重要になってきたのである。小売業者やメーカーの反応には、非耐久財(衣服など)の業界の枠を超えた共通性が感じられる。

 ラルフ・ローレン、ベネトン、リズ・クレイボーンは、今やファッションであるとともにブランドでもある。かつてはジョッキー社の男性用下着やスペリートップサイダー(製のデッキシューズ)のように、機能としか結びついていなかったブランドも、スタイルと色を製品にとり入れ、今では機能のみならずファッションとなっているのである。

 ファッション業界におけるメーカー・ブランドの上昇が刺激となって、その他の重要な進展が起こった。ラルフ・ローレン、コーチ、そしてバーバリー、ベネトン、ローラ・アッシュレーを含むヨーロッパの多くの小売業者は、独自のラベルをつけた商品しか販売しない直営店やフランチャイズ店を開いたのである。

 消費者がメーカーのブランドを受け入れ認知した結果として"消費者パワー"をもつにいたったメーカーと突如対決を迫られた伝統的な小売業者は、断固たる対応に出てきている。

 □ メーシー百貨店は、プライベート・ブランド品の売上げを1980年の6%から、1986年には20%以上に伸ばし、現在50以上のプライベート・ブランドをもっているし、製品の種類によっては、プライベート・ブランド商品が、売上げの50%相当を占めている。

 □ もっとも成長力の大きいファッション専門店チェーン、ザ・リミテッド社は、プライベート商品を戦略の礎石とした。この種の商品は、売上高の70%を占めている。ザ・リミテッド社のプライベート・ブランドであるフォレンサとアウトバック・レッドを合わせると、全国の婦人服売上高のなかで第3位を占める。

 □ シアーズ・ローバックとJ.C. ペニーはこれと対照的で、現在ほとんど全部がプライベート・ブランドによる品揃えとなっているところへ、ナショナル・ブランドを加えようとしている。全国2大食品店チェーンである、セーフウエイとクローガーもまた、プライベート・ブランドを犠牲にして、再びナショナル・ブランドを強化しようとしている。

 このように明らかに矛盾した事実について説明するのは、複雑な仕事だ。そのなかには、次のような事実も含まれる。

変化してゆく消費者の購買習慣

高度化した経営情報システムが、小売の技術や規模に及ぼす影響