事業計画書があってはじめて、起業家は投資が受けられる。事前に計画書が準備されていなければ、投資家グループは、面会さえも許してくれないだろう。したがって、投資を受けられるような計画書は傑出したものでなければならない。

 しかし、あまりにも多くの起業家が、すぐれたネズミ取りを作れば、世界中の人が戸口へ押し寄せるといまだに信じている。たしかに、すぐれたネズミ取りは重要であるが、それは投資を受けるための一要素にすぎない。これと同じくらい重要なことは、販売業者と投資家のニーズの充足である。販売業者は、顧客が興味を示しており、成長市場があるという証拠を欲しがる。投資家は、いつ投資を回収できるか、その事業の収益見通しはどうかといった点を知りたがる。

 この論稿の著者は個人としての経験と、マサチューセッツ工科大学のエンタープライズ・フォーラムでの経験を生かして、投資家を得心させ、投資をかちとる事業計画書の書き方を示している。

 この論稿は、"ドルをかちとる事業計画――MITエンタープライズ・フォーラムからの教訓"、Rich & Gumpert著(Harper & Row社、1985年)からとったものである。著者たちはまたニューハンプシャー州グランサムのベンチャー・リソース・アソシエーション(成長しようとしている企業に対し、プラニングと戦略サービスを提供する機関)の設立者でもある。

 新しく事業を始めようとする起業家や、会社経営者が成功するためには、包括的な内容の、注意深く作成された事業計画書が不可欠である。新規に事業をおこそうとする場合、既存製品ライン拡大のための資金を求めている場合、あるいは事業部が新しい活動を提案する場合のいずれであっても、直面するもっともむずかしくてやりがいのある仕事は、事業計画の作成であろう。

 十分に練られて、しかも体裁のよい事業計画書だけが、必要な投資と事業アイデアへの支持をかちとることができるのである。事業計画書には、対象の会社あるいは提案されるプロジェクトが、正確かつ魅力的に記述されていなければならない。たとえ、それが特定の標的をねらった計画書でなくても、そのなかには会社またはプロジェクトの現在の地位、ニーズの現状と将来見込みが詳細に記述されていなければならない。論理的で読み手が得心できるようなかたちで、現在および将来にわたって必要とされる経営資源、マーケティング上での決定、財務上での見通し、生産面での要件、必要人員を提示し、それらの根拠を証明しておかねばならない。

 経営者は、計画を作成するために資料を集め、それらをとりまとめ、記述し、文書化するのに手いっぱいであるため、つい基本的な要点を見すごしてしまう。しかし、見すごしてはならないもっとも重要な点は、以下に示す3種類の関係者の立場を、正しく計画書に反映させることである。それらの関係者とは次のとおりである。

 1. 計画中の製品あるいはサービスの、現在および将来の得意先、顧客、ユーザー、すなわち市場。

 2. 資金の出資者、および資金以外の経営資源の提供者。

 3. 生産者(起業家または発明者)。