ポートフォリオ・プランニングが評判になってすでに10年以上になるが、往時と比べると相当の進歩を遂げている。以下、何人かの経営者の経験談に耳を傾けてみよう。

「ポートフォリオ・プランニングは、私がCEO(最高経営責任者)になるとすぐ、私とのかかわりができました。あまりにも製品や市場の数が多く、それを管理掌握するのがとてもたいへんだったものですから、私はすぐにポートフォリオ・プランニングに飛びつきました。というのも、この技法は当社の各種事業や、会社全体が直面している経営資源の配分問題について、私の考えをまとめる手だてになるからです。私はすぐ、そのとりこになりましたが、今でも熱心な信奉者です」――ノートン・カンパニーのCEO(1971-1980年)、ロバート・クッシュマン。

「2年間、ポートフォリオ・プランニングをやってみて、計画の手順があまりにも煩わしく、それがある意味で、われわれを魅了してしまったのではないかという懸念をもちはじめました。われわれは分析ばかりにとらわれすぎて、具体的な意思決定や実行にはあまり熱心ではなかった」――ユニロイヤルのCEO、ジョセフ P. フラナリー。

「ポートフォリオ・グリッドや製品のライフサイクルというような概念は理論的にはたいへん結構なのですが、理論どおりのことが本当に起こるとまともに信じたら、とんでもないことになるということがわかりました。私の経験では、この理論が現実には発生しないようがんばれと、私が各管理者の奮起を促すことのほうが、よほど重要なことでした」――ゼネラル・フーズのCEO、ジェームズ L. ファーガソン。

 以上のコメントは、今日ポートフォリオ・プランニングについてよくいわれる賛辞と批判の両方をあらわしている。しかし、多くの人がこの計画法の功罪について論じ続けているが、整合性のある戦略がなくても企業は成功できると主張している人は誰もいなく、今採用している計画技法をあえて完全に放棄してもよいという企業はほとんどない。実際、フォーチュン誌500社のおよそ4分の3の会社と、それ以下の規模でも複数の製品ラインや事業をかかえた多くの会社が、何らかの形のポートフォリオ・プランニングを採用している(1)。したがって、いったい計画は有用か否かと議論するよりも、われわれとしては成功している企業が実際にどのようにしてポートフォリオ・プランニングを(自社に合わせて修正しながら)使いこなしているかを理解する必要がある。

 過去3年間、筆者は企業におけるポートフォリオ・プランニングの実施例を研究し、多くの企業トップや計画参謀および部門のライン・マネジャーにインタビューした(筆者の研究概略についてはカコミを参照)。最も効果的な計画を実施している企業は以下の教訓を学んでいるというのが、私の結論である。

 □ 戦略はいくつかの違ったレベルに存在し、プランニングは企業全般にかかわるが、1つですべてのレベルに問題なく適用できる計画技術や方法はない。

 □ プランニングは全組織にかかわるので、その影響を予測し、かつ管理しなければならない。

 □ トップ・マネジメントが目的を明確にうち出し、期待値をそれに適合させる必要がある。すぐれた企業はポートフォリオ・プランニングに全面的に依存することはしない。

 □ プランニング手法は状況や環境の変化に合わせ、そのつど変えなければならないかもしれない。