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比較広告は、誰もが目にする広告である。"コークよりもペプシを選ぶ人が多い"という"ペプシの挑戦"、"シャンプーのテストでは、プレル、フレックス、サスーンよりもボディ・オン・タップが高い得点を獲得した"と主張する広告、"トライアンフはメリットにまさる"と主張する広告。これらは、他を踏み台にして自社ブランドの地位を確立しようという努力が満ちた広告である。
しかし、その主張が、どのようなデータにもとづいてなされているかは明らかでない。比較広告は、厳密な比較テストが行なわれていることを強く示唆しているけれども、詳しく調べてみると、そのテストなるものは、簡単なものだったり、やり方に問題があったりする可能性がある。
著者が提案しているのは、比較広告を挑まれた企業や、その種の広告をしようともくろんでいる人びとが、比較主張の中身を評価するために質すべき精選された5つの設問である。例えば、実際に消費者に2つのブランドの比較評価を求めたのかどうか、その場合の調査対象者は製品ユーザーを代表するサンプルであるかどうか、その調査は比較される製品群を真に識別できるように設定されていたかどうか。
比較広告の生けにえにされた企業は、その広告を成り立たせている調査データに不備な点を見つけたら、各種取締まり機関や司法当局に見つけ出したことがらを訴えることができるし、場合によっては、その違反広告の中止や変更を求めることができるのである。
比較広告は生けにえの"犠牲者"を目立たせる。それは、当の市場での代表的ブランドの1つでありながら、比較広告主のブランドより劣るように印象づけられるのである。例えば、コカ・コーラは、"ペプシの挑戦"の犠牲者であったし、もっと最近では、あのC&Cコーラ広告の犠牲者でもあった。比較広告の生けにえにされたブランドのマーケティング担当者は、何かしかるべき反撃を企図すべきである。それは何も、ネットワーク・テレビに訴えたり、禁止命令をもらうべく提訴したり、反対声明を放映したりしろ、というのではない。というのは、生けにえの反撃は、当の広告の比較主張が依拠しているデータの質いかんにかかっているからである。反撃を形づくるための重要な過程の1つは、その広告の内容を立証しているデータを評価することである。
比較広告は、2つのタイプのデータのいずれかを使用している。その1つは客観的データであり、他の1つは消費者の主観的な製品テストの結果である。客観的データに依拠している広告は、一般的にいって、中身を確認し反証をあげることが容易である。そのいい例が、サーブ対ボルボの2台の車の各種特徴――トランクのスペース、ホイールベース、エンジン・サイズなどを比較した広告である。もしも、サーブのリアシートが現実に折りたためるのなら、誰でも出かけていって現物を見ればよいのだから、そこに演出の余地はほとんどない。
消費者の主観的評価による製品テストに依拠している比較広告は、違った問題をはらんでいる。この種の広告の主張は、"多くの人びとがBブランドよりもAブランドを選好している"とか、"AはBと同様のよさがあるが、値段が安い"といった形をとる。スプライト対セブンアップ、シュリッツ対ミシェロブ、フォッパー対ビックマック、クッキングッド対パーデュー、ラ・クア・パビリオン対モートン・カデットなど枚挙にいとまがない。ダイエット・ペプシ対ダイエット・コークは、ひきつづいてダイエット・コーク対ダイエット・ペプシへと攻守ところを変えた。
"より多くの人びとが選好する"とか、"同様のよさがある"とは、いったい何を意味しているのか。多分、それは広告主ごとに意味が異なるだろう。さらにまた設問の様式、テーマ選定の手続き、調査対象者数、テスト結果を報告するために用いられる用語の選び方などのすべてが、比較主張に影響を及ぼす。結果的に、広告主が製品テストの手続きで誤りを犯す可能性は限りなくあるわけである。
本稿で、私は、比較広告を評価するためのいくつかの基準を提示する。これらの基準は、過去4年以上にわたって実施された、いろいろな製品テストの技法研究に準拠している。それは、生けにえにされたブランドのマネジャーが、ライバル企業の比較主張のもとになった消費者製品テストに関して、疑問を問い質すことができるように、質問群にまとめられている。もし、その比較広告主が、すべての質問に十分に答えられるとすれば、その主張は考慮に値することになる。そうではなく、回答が不十分なら、生けにえ側が当の広告に反撃を試みても大丈夫であろう。もちろん、比較広告の作り手が、反撃を食らうことを見越して、予防のためにチェックするのにも、この質問群は役に立つ。
製品テストは、これまで長い間、それほど機能していなかったし、通常それはリサーチャーの仕事の領域とみなされていた。ところがいまや、比較広告が容易ならぬ業務上の問題を招来するため、比較広告キャンペーンの展開には、関係者全員――ブランド・マネジャー、製品テストの専門家、広告マネジャーなどが参加するようになった。製品テストの結果からいえることと、いえないことを知っておく必要があるからである。生けにえ側でも、ブランド・マネジャー、マーケティング・リサーチ・ディレクター、顧問弁護士、そして場合によっては最高首脳さえもが加わって、無礼な主張に反論しようと試みているのである。製品テストの実施にかかわったことのない多くの上級管理職たちも、この比較広告騒動に自分がすっかり、まきこまれてしまっていることに気づきつつある。



